次世代・探究

「自分たちの授業」をつくり始める。先輩から後輩へ、学びもつながる|マンガ教材探究型授業プログラム2024 #3

「何を教えるか」から、 「自分たちは、どんな授業をつくりたいのか」へ。 2024年10月19日、 マンガ教材探究型授業プログラム2024の第3回ワークショップを行いました。 高校生たちはグループごとに分かれ、 本番の小学生向け授業を見据えながら、 模造紙いっぱいにアイデアを書き出し、 本格的な授業プランづくりを始めました。

この日は加茂高校の上野教諭に加え、 前年度のプログラムに参加した先輩高校生も駆けつけ、 後輩たちの話し合いをサポート。 年度を越えて経験が受け継がれる姿も見られました。

マンガ教材探究型授業プログラム2024|授業開発ワークショップ #3

ワークショップ概要

実施日
2024年10月19日
参加
岐阜県立加茂高等学校の高校生
テーマ
グループごとの授業プランづくり
使用教材
高校生が地域探究を通して開発に関わった 美濃加茂市版マンガ教材
サポート
加茂高校 上野教諭、 前年度プログラム参加高校生、 ミライクエスト
次の目標
小学生を対象とした実践授業に向けた 授業内容の具体化
3回目 2024年度ワークショップ
GROUP グループ単位の授業設計へ
NEXT 先輩から後輩へ経験を継承

10月5日の第1回では、 AiMandalaを使った自己紹介や 前年度の授業の振り返りから 2024年度の活動がスタートしました。

続く10月12日の第2回では、 長年教育現場に携わってきた 日比野安平先生から、 教員として子どもたちと向き合うための 考え方や視点を学びました。

そして今回から、 いよいよ高校生自身による 本格的な授業づくりに入ります。

「自分たちなら、どんな授業にする?」

テーブルの上にあるのは、 美濃加茂市の地域資源や里山を題材にした マンガ教材と、大きな模造紙。

高校生たちはグループごとに集まり、 マンガ教材をめくりながら、 小学生に何を伝えたいのか、 どのような流れで授業を進めるのかを 話し始めました。

誰かが一つのアイデアを出す。

そこから別のメンバーが、 「それなら、こうしたら?」 「小学生だったら、こっちのほうが分かりやすいかも」 と考えを重ねていきます。

マンガ教材を見ながら授業内容を話し合う加茂高校の高校生
マンガ教材を開きながら、 小学生に何を伝えるのかをグループで検討。 教材を読むだけではなく、 自分たちなりの授業へ組み替えていきます。

模造紙が、どんどん埋まっていく

今回、特に印象的だったのが、 高校生たちが使っていた模造紙です。

前年度のワークショップと比べても、 アイデアやメモ、 授業の流れ、 気になったことなどが かなり細かく書き込まれていきました。

きれいにまとめることが目的ではありません。

思いついたことをまず書く。 他の人の意見を書き足す。 話している途中で気づいたことを さらに書き込む。

模造紙そのものが、 グループの思考の軌跡になっていきました。

模造紙に授業のアイデアを書き込みながら話し合う高校生
大きな模造紙を囲みながら、 思いついたことを次々に書き込んでいきます。 話し合いの過程そのものが可視化されていきました。

グループごとの「カラー」が見え始める

同じマンガ教材を使っていても、 出てくるアイデアはグループによって異なります。

「どんなことを小学生に知ってほしいか」 「どんな方法なら楽しんでもらえるか」 「自分たちらしさをどう出すか」。

話し合いが進むにつれて、 それぞれのグループの 考え方や雰囲気が少しずつ見えるようになってきました。

この段階では、 完成された授業案を求めているわけではありません。

むしろ、 高校生自身が自由に考え、 試行錯誤しながら 「自分たちの授業」をつくっていくことが このプログラムの大切なプロセスです。

グループで授業プランを考える加茂高校の高校生
グループごとにそれぞれの方法で授業案を検討。 同じ教材から始まっても、 話し合いによって少しずつ異なる授業の形が生まれていきます。

前年度の参加者が、「先輩」として戻ってきた

この日、うれしい出来事がありました。

前年度のマンガ教材探究型授業プログラムに参加し、 実際に小学生への授業を経験した高校生が、 後輩たちのサポートのために ワークショップへ来てくれたのです。

一年前は、 自分たち自身が授業づくりに悩み、 先生や周囲の大人からアドバイスを受けていた高校生が、 今度は後輩の話を聞く側になる。

これは、 プログラムが単年度の活動だけではなく、 少しずつ学校の中に経験として 蓄積され始めていることを感じさせる出来事でした。

「参加者」から「次の人を支える人」へ

前年度に経験した高校生が、 翌年度の参加者を支える。 教えてもらった経験が、 今度は誰かを支える力に変わっていく。 こうした循環も、 継続型の探究プログラムだからこそ 生まれ始めている価値です。

先生も、大人も、「答えを与える人」ではない

この日は、 加茂高校の上野教諭も 高校生たちの活動を見守りました。

ただし、 大人が授業案をつくり、 高校生に「これをやってください」と 渡すわけではありません。

迷ったときには問いかけ、 必要なところでアドバイスし、 基本的には高校生自身が考える。

授業をつくる主体は、 あくまで高校生です。

だからこそ、 本番で小学生の前に立ったときにも、 「自分たちでつくった授業」として 向き合うことができます。

来られない仲間にも、ちゃんと伝える

高校生には、 授業だけでなく部活動や学校行事など、 さまざまな予定があります。

そのため、 毎回全員がワークショップへ 参加できるわけではありません。

しかし今回は、 欠席したメンバーにも グループ内で話し合いの内容を共有する 連絡の流れが自然にできていました。

「今日来られなかったから分からない」 で終わるのではなく、 次に集まったときに一緒に続きを考えられるようにする。

こうした小さな変化からも、 高校生たちの主体性が 少しずつ高まっていることを感じます。

01
教材を改めて読み込む

マンガ教材の内容や 美濃加茂市の地域資源を確認しながら、 授業の題材を探します。

02
アイデアを自由に出す

「何を伝えたいか」 「どうすれば楽しんでもらえるか」を グループで話します。

03
模造紙へ可視化する

出てきた言葉や発想を 書き出しながら、 考えをつないでいきます。

04
先輩・先生と対話する

前年度参加者や教員からも 必要な助言を受けながら、 自分たちの案を磨きます。

05
グループで共有し続ける

当日参加できなかった仲間とも 情報を共有し、 次の活動につなげていきます。

「授業を受ける高校生」から、 「授業をつくる高校生」へ

普段の学校生活では、 高校生は授業を受ける側です。

しかしこのプログラムでは、 自分たちが小学生の前に立ち、 教える側になります。

何を伝えるのか。 どの順番なら分かりやすいのか。 小学生が飽きないためにはどうするのか。 もし予定どおりに進まなかったらどうするのか。

「教える側」に立とうとすると、 教材の見え方そのものも変わってきます。

この日の模造紙に書き込まれた たくさんの言葉は、 高校生たちが少しずつ その立場へ移り始めた証でもありました。

この活動から生まれたもの

OUTPUT|形になった成果

  • グループ単位での本格的な授業プラン作成を開始
  • マンガ教材をもとに小学生へ伝えたいテーマを検討
  • 大判の模造紙を使ってアイデアや授業構成を可視化
  • グループごとに異なる授業アイデアが生まれ始めた
  • 加茂高校の上野教諭が授業づくりをサポート
  • 前年度参加高校生が後輩の活動をサポート
  • 欠席メンバーへの情報共有の仕組みがグループ内で形成された

OUTCOME|高校生に生まれ始めた変化

  • 「教えてもらう側」から「授業をつくる側」への意識の変化
  • 自分たちで考えたアイデアを言葉にし、 仲間へ伝える機会が増えた
  • 他者の意見を取り入れながら 一つの授業案へまとめる協働が生まれた
  • グループごとの個性や方向性が明確になり始めた
  • 欠席した仲間にも活動内容を共有する主体的な行動が見られた
  • 前年度の経験者から学ぶ、 高校生同士の縦のつながりが生まれた

IMPACT|継続から見え始めた変化

  • 前年度参加者が次年度の高校生を支援する経験継承の始まり
  • 単年度で終わらない探究活動としての学校内への蓄積
  • 高校生が主体となって小学生の学びをつくる地域教育モデルへの発展
  • 教員・高校生・先輩高校生が異なる立場から伴走する関係の形成
  • 地域教材を世代を越えて活用・更新していく仕組みへの発展可能性
  • 高校生自身の原体験が、 次の世代を支える経験へ循環する土台の形成

経験が、次の人へ渡り始めた

この日のワークショップで見えたのは、 高校生たちの授業案だけではありませんでした。 前年度に参加した高校生が、 今度は後輩を支える側として戻ってくる。 参加できない仲間には、 グループのメンバーが話し合いの内容を共有する。 そして高校生自身が模造紙を囲み、 「自分たちはどんな授業をしたいのか」を考える。 一年ごとの活動が点で終わらず、 少しずつ次の人へつながっていく。 継続して取り組んできたからこそ見え始めた、 大切な変化です。

プログラム: マンガ教材探究型授業プログラム2024
実施日: 2024年10月19日
参加: 岐阜県立加茂高等学校 高校生
サポート: 加茂高校 上野教諭、 前年度プログラム参加高校生
企画・運営: ミライクエスト

高校生が、自分たちの授業をつくる

教材を読むだけでなく、 地域を知り、人と出会い、 仲間と考え、 最後は自分たち自身が小学生へ伝える。 マンガ教材探究型授業プログラム2024は、 本番の授業へ向けて さらに具体的な準備へ進んでいきます。

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