顕微鏡をのぞき、 3D画像で体の中を動かし、 リハビリ用の装具を身につけ、 普段は入ることのできない手術室へ。 95名の小中学生が8つの医療体験を巡りながら、 病院で働くさまざまな専門職と出会い、 医療の仕事と自分の未来について考えました。
本記事では、中部国際医療センターが主催する次世代医療人材育成プログラムを、協力・伴走支援を担うミライクエストの視点から紹介します。
プロジェクト概要
- 事業名
- 小中学生医療体験オープンホスピタル 2026サマースペシャル
- 開催日
- 2026年7月26日
- 開催場所
- 中部国際医療センター
- 対象
- 小学5・6年生、中学生
- 申込者
- 100名
- 当日参加者
- 95名
- 主催
- 中部国際医療センター
- 専門企画・指導
- 中部国際医療センターの医師、看護師、 診療放射線技師、臨床検査技師、薬剤師、 リハビリテーション専門職など
- 協力・伴走支援
- ミライクエスト
- ミライクエストの役割
- 子どもたちの医療や将来への問いを引き出し、 その問いを医療従事者と体験プログラムへつなぐ 募集・運営・バックオフィス支援
- 体験プログラム
- 手洗い、ユニフォーム、顕微鏡、 3D画像解析、リハビリ、病院探検、 アシストストレッチャー、化学実験
- 事後アンケート
- 42件
2026年7月26日、 中部国際医療センターで、 小学5・6年生と中学生を対象とした 「オープンホスピタル2026サマースペシャル」が 開催されました。
100名の申込みがあり、 当日は欠席者5名を除く95名が参加しました。
参加者は複数のグループに分かれ、 手洗い、ユニフォーム、顕微鏡、 3D画像解析、リハビリテーション、 病院探検、アシストストレッチャー、 化学実験の8プログラムを順番に巡りました。
各プログラムを担当したのは、 中部国際医療センターで働く 医師、看護師、診療放射線技師、 臨床検査技師、薬剤師、 リハビリテーション専門職などの 現役の医療従事者です。
子どもたちは、 本物の医療機器や病院の設備に触れながら、 医療には多くの仕事があり、 それぞれの専門職が協力して 患者を支えていることを学びました。

8つの体験を巡る、医療体験プログラム
今回のオープンホスピタルでは、 参加者がグループごとに移動しながら、 8つの体験へ順番に参加しました。
一つの職種だけを深く学ぶ高校生コースとは異なり、 小中学生コースでは、 医療に関わる多様な仕事を 短時間で幅広く体験できることが特徴です。
見るだけではなく、 自分の手で触り、 実際に動かし、 現役の医療従事者から説明を受けることで、 子どもたちの興味や疑問が 次々に生まれていきました。
1 手洗い、ちゃんとできてますか?
専用の光を使って手に残った汚れを確認し、 感染を防ぐための正しい手洗いを学びました。 毎日の生活にもつながる医療の基本です。
2 インスタ映えするユニフォームはどれ?
医師や看護師などが着用するユニフォームに触れ、 医療職の姿を身近に感じました。 服装の違いから、病院内の役割にも目を向けます。
3 ミクロの世界を見てみよう。
顕微鏡を使い、 肉眼では見ることのできない世界を観察しました。 検体から体の変化を見つける 臨床検査の仕事につながる体験です。
4 3D画像解析セミナー
医療画像をコンピューター上で立体的に表示し、 骨や臓器をさまざまな方向から観察しました。 画像が診断や治療を支える仕組みを学びました。
5 リハビリって何?
装具や補助具を使い、 体を自由に動かしにくい状態や、 日常生活の動作を支える方法を体験しました。
6 病院探検をしよう!
手術室や集中治療室、 血管撮影・カテーテル治療室など、 普段は入ることのできない病院内を見学しました。
7 アシストストレッチャー体験
患者を安全に移動させるために使われる ストレッチャーや補助機器について学び、 患者搬送を支える工夫を体験しました。
8 夏の化学大実験!
薬剤師の指導を受けながら、 薬の計量や調剤に関わる作業を体験しました。 正確に量ることや安全に確認することの大切さを学びました。
参加前から始まっていた、子どもたちの探究
ミライクエストは、 参加申込の段階で、 子どもたちの参加動機と 医師や看護師へ質問したいことを受け取っています。
参加者からは、 将来の仕事を考えるために さまざまな体験をしてみたいという声のほか、 医師や看護師への興味、 医療職を目指す夢、 家族や先生、友人からの勧めなど、 多様な動機が寄せられました。
申込データから見えた主な参加動機
※申込フォームの有効回答をもとに、主な回答項目を掲載しています。
医療従事者への質問には、 仕事の魅力だけでなく、 その道を選んだ理由、 大変だったこと、 中学生の頃にどのような勉強をしていたのか、 今からできる準備など、 将来へつながる具体的な問いが並びました。
参加前に寄せられた主な問い
- 医師や看護師を目指したきっかけは何ですか
- この仕事をしていて良かったと思うのはどんなときですか
- 仕事の中で一番大変なことは何ですか
- 中学生の頃はどのような勉強をしていましたか
- いつ頃から医療職を目指していましたか
- 医療職になるために、今からできることはありますか
- 一日の仕事の流れを教えてください
- 患者さんと接するときに大切にしていることは何ですか
- 病院にはどのような職種がありますか
- 医療の仕事にはどのようなやりがいがありますか
申込フォームは、 定員やグループを管理するためだけのものではありません。
子どもたちが何に興味を持ち、 何を知りたいと考えているのかを 事前に受け取るための入り口です。
一人ひとりの問いを持って 医療の現場へ入ることで、 体験は単なる見学ではなく、 自分の関心を確かめる探究の時間になります。
顕微鏡で、目に見えない世界を観察する
「ミクロの世界を見てみよう」では、 顕微鏡を使って、 肉眼では確認できない検体の様子を観察しました。
臨床検査技師は、 血液や細胞などを調べ、 体の中で起きている変化を 医師の診断につなげる専門職です。
子どもたちは、 顕微鏡のピントを合わせながら、 色や形の違いを注意深く観察しました。


アンケートで最も評価の高かった体験の一つ
「ミクロの世界を見てみよう」は、 事後アンケートで42件中38件、 90.5%が「良い」と回答しました。 「ほかではできない体験で興味深かった」 という趣旨の感想も寄せられています。
3D画像で、体の中を立体的に見る
3D画像解析セミナーでは、 診療に使われる医療画像を コンピューター上で立体的に表示しました。
平面の画像だけでは分かりにくい 骨や臓器の位置関係を、 回転させたり拡大したりしながら確認します。
参加者は画面を操作し、 人体の内部をさまざまな方向から観察しました。
アンケートには、 体の中が想像以上に立体的だったことや、 病気を発見するために 画像がどのように役立つのか分かったという 趣旨の声が寄せられました。

薬を正確に量り、安全に届ける
夏の化学大実験では、 薬剤師の指導を受けながら、 液体や粉末を量り、 薬の調剤に関わる作業を体験しました。
薬は、 少しの量の違いが 患者の体に影響することがあります。
正確に量ること、 内容を確認すること、 間違いがないように記録することなど、 薬剤師が安全を守るために行っている 仕事の一部を学びました。


体を動かしにくい状態を、自分で体験する
リハビリテーションの体験では、 足の動きを制限する装具や、 日常の動作を補助する道具を使いました。
いつもは簡単にできる歩行や、 手を使う動作が難しくなることで、 病気やけがをした人が どのような不便を感じるのかを考えます。
理学療法士、作業療法士、 言語聴覚士などの専門職は、 患者が体の機能や生活を取り戻すために 一人ひとりに合わせた支援を行っています。


体験することで分かった、患者の立場
アンケートには、 体を動かしにくい状態を体験したことで、 患者が感じる大変さが分かったという 趣旨の声が寄せられました。 リハビリテーションの仕事を、 技術だけでなく患者の視点から考える機会となりました。
病院探検で、最先端の医療現場へ
病院探検では、 手術室、集中治療室、 血管撮影・カテーテル治療室など、 普段は入ることのできない医療現場を訪れました。
手術室では、 手術を支援するロボットや、 患者の状態を管理する機器について 医療従事者から説明を受けました。
子どもたちは、 大きな機械や複数のロボットアームを間近で見ながら、 医師だけでなく、 看護師や臨床工学技士など 多くの専門職が手術を支えていることを学びました。

血管撮影・カテーテル治療室では、 体の中の血管を画像で確認しながら 治療を行うための装置を見学しました。
大型の画像装置、 カテーテルを操作するための機器、 患者の状態を確認するモニターなど、 多くの設備が連携して治療を支えています。


病院には、想像以上に多くの仕事がある
事後アンケートには、 医療には多くの種類の仕事があることを 初めて知ったという声が寄せられました。 病院探検は、施設を見学するだけでなく、 医師や看護師以外の専門職を知る キャリア教育の機会にもなっています。
正しい手洗いから、感染を防ぐ医療を学ぶ
手洗いの体験では、 手に専用の液をつけ、 ブラックライトを使って 洗い残しを確認しました。
自分ではきれいに洗ったつもりでも、 指の間や爪の周り、 手首などには汚れが残ることがあります。
医療現場では、 患者と医療従事者の双方を感染から守るため、 正しい手洗いが欠かせません。

アンケートから見えた、体験への評価
体験後アンケート結果
| 体験プログラム | 「良い」 | 割合 |
|---|---|---|
| 手洗い、ちゃんとできてますか? | 33件 | 78.6% |
| インスタ映えするユニフォームはどれ? | 33件 | 78.6% |
| ミクロの世界を見てみよう。 | 38件 | 90.5% |
| 3D画像解析セミナー | 37件 | 88.1% |
| リハビリって何? | 38件 | 90.5% |
| 病院探検をしよう! | 38件 | 90.5% |
| アシストストレッチャー体験 | 37件 | 88.1% |
| 夏の化学大実験! | 37件 | 88.1% |
特に評価が高かったのは、 「ミクロの世界を見てみよう」 「リハビリって何?」 「病院探検をしよう!」の3つで、 それぞれ90.5%が「良い」と回答しました。
また、 3D画像解析、アシストストレッチャー、 夏の化学大実験も 88.1%が「良い」と回答しています。
※各割合は、事後アンケート42件を母数として算出しています。 8プログラム全体では、延べ336評価中291件が「良い」でした。
参加者・保護者の声
普段は見ることのできない手術室や集中治療室、 手術支援ロボットを見学できました。 病院にはさまざまな仕事があることも分かり、 とても良い経験になりました。
3D画像で体の中を見る体験が楽しく、 骨や臓器が立体的に見えることに驚きました。 もっと長い時間、画像を操作してみたいと思いました。
けがをした経験から理学療法士に興味を持っていました。 今回の体験を通して、 将来その仕事に就きたいという気持ちが さらに強くなりました。
薬を量ったり、 薬を包む機械を使ったりする体験が楽しかったです。 薬剤師の仕事を具体的に知ることができました。
医療には、 医師や看護師以外にも さまざまな仕事があることを初めて知りました。 将来の仕事の選択肢が増えました。
子どもだけでなく、 保護者にとっても学びの多い一日でした。 医療への関心を持つきっかけとなり、 来年も参加したいと話しています。
体験後に生まれた、新しい問いと要望
アンケートには、 今回の体験によって新たに興味を持ったことや、 次回さらに体験したい内容も寄せられました。
- 縫合や救急処置を体験してみたい
- 救急患者が搬送された後の流れを知りたい
- MRIなどの医療機器を詳しく見てみたい
- 人体模型を使って臓器の位置を確認したい
- 手術室で使われる器具をもっと詳しく知りたい
- 集中治療室の機器について詳しく学びたい
- 救急車やドクターカーの内部を見学したい
- 聴診器やバイタルサインの測定を体験したい
- 医療従事者と話す時間をもっと増やしてほしい
- 一つの体験に取り組む時間を長くしてほしい
体験によって疑問が解消されるだけでなく、 「次はこれを知りたい」 「もっと深く体験したい」という 新しい問いが生まれています。
こうした声を次回のプログラムへつなげていくことも、 オープンホスピタルを継続的に育てる 大切なプロセスです。
この活動から生まれたもの
OUTPUT|形になった成果
- 小学5・6年生と中学生を対象とした医療体験の実施
- 申込者100名、当日参加者95名による大規模な体験機会の創出
- 8種類の医療体験プログラムの実施
- 参加者を複数グループに分けた巡回型プログラムの運営
- 現役の医療従事者による体験設計と直接指導
- 顕微鏡を使った検体観察
- 3D医療画像の操作・解析体験
- 薬の計量や調剤に関わる薬剤師体験
- 装具や補助具を使ったリハビリテーション体験
- 正しい手洗いと洗い残しの確認
- 血圧測定など身体の状態を確認する体験
- 手術室、集中治療室、血管撮影・カテーテル治療室の見学
- 手術支援ロボットなど高度医療機器の見学
- 申込時の参加動機と医療従事者への質問の収集
- 参加者情報、グループ分け、当日動線の整理
- 参加者と保護者への事前案内・連絡対応
- 当日の受付、誘導、時間管理、全体進行
- 事後アンケート42件の回収と分析
OUTCOME|子どもたちに生まれた変化
- 8プログラムへの延べ336評価中291件、86.6%が「良い」と回答した
- 普段は入れない医療現場に触れ、病院を身近に感じた
- 医師や看護師以外にも多様な医療職があることを知った
- 医療職が将来の仕事の選択肢として広がった
- 医療職を目指す気持ちが強まったという声が生まれた
- 体の構造や検査、治療への関心が深まった
- 患者が感じる不便さや大変さへの理解が生まれた
- 正しい手洗いや感染予防を日常生活へ持ち帰る機会となった
- 薬を正確に扱う薬剤師の責任への理解が深まった
- 医療機器と人の専門性が組み合わさって治療が行われることを学んだ
- 多くの職種が連携して患者を支えることを知った
- 体験前の問いが、次の学びにつながる新しい問いへ発展した
- 保護者にとっても地域医療を知る機会となった
IMPACT|これから地域に育てていく可能性
- 小中学生が医療を身近な仕事として考えられる地域環境の形成
- 早い段階から医療や科学への興味を育てるキャリア教育の発展
- 小中学生から高校生へ続く段階的な医療人材育成モデルの構築
- 地域医療を支える次世代人材の長期的な育成
- 病院を地域に開かれた学びの場として活用する機会の拡大
- 医療職と子どもたちが直接出会える継続的な交流機会の形成
- 子どもの問いを起点にした医療・科学探究プログラムの発展
- 学校、家庭、病院、地域をつなぐ医療教育ネットワークの形成
- 体験後の関心に応じた発展型プログラムの検討
- 申込・アンケートデータを生かした継続的なプログラム改善
- 中部国際医療センターの専門性と地域での役割への理解の拡大
- 他の医療機関や地域にも応用できる医療体験モデルの形成
子どもたちの問いを、医療の現場へつなぐ
オープンホスピタルの主催者は、 中部国際医療センター です。
医師、看護師、 診療放射線技師、臨床検査技師、 薬剤師、リハビリテーション専門職などが、 自らの専門性を生かして 各体験プログラムを企画し、 子どもたちを直接指導しました。
ミライクエストは、 協力・伴走支援として、 参加者募集から申込管理、 保護者への連絡、 グループ分け、 病院内の各担当者との調整、 当日の受付・誘導・全体進行、 事後アンケートまでを支えています。
こうしたバックオフィス業務は、 体験を滞りなく進めるためだけの 事務作業ではありません。
申込時に参加動機や質問を受け取ることによって、 子どもたちが何に興味を持ち、 医療従事者へ何を聞きたいのかを 事前に把握できます。
子どもたちの問いを引き出し、 病院の専門性とつなぎ、 当日の原体験へ変える。
そして、 体験後に生まれた新しい問いや要望を受け取り、 次のプログラムへつなげていく。
それが、 オープンホスピタルにおける ミライクエストの協力・伴走支援です。
中部国際医療センター
病院の設備と専門性を生かし、 現役の医療従事者が体験プログラムを企画して、 子どもたちへ直接指導します。
ミライクエスト
子どもたちの興味や問いを引き出し、 医療従事者と体験へつなぎながら、 準備、当日運営、体験後まで伴走します。
オープンホスピタルの舞台、中部国際医療センター
中部国際医療センターには、 医師や看護師だけでなく、 検査、画像診断、薬、リハビリテーション、 医療機器、栄養などを担う 多様な専門職が働いています。
小中学生が本物の医療現場へ入り、 医療機器に触れ、 専門職から直接学べることは、 病院が持つ設備と専門性、 そして次世代へ伝えようとする 職員の協力があってこそ実現できます。
オープンホスピタルは、 医療の仕事を知るだけでなく、 地域の健康と命を支える病院そのものを 子どもたちと保護者が知る機会にもなっています。
中部国際医療センターの施設や医療への取り組みを紹介する動画です。
当日の様子





知ることから、次の問いへ
医療の現場へ入り、 本物の設備に触れ、 そこで働く人から直接学ぶことで、 子どもたちの中に新しい関心と問いが生まれました。 ミライクエストは、 その問いを次の学びと未来の進路へつなげていきます。
協力・伴走支援: ミライクエスト
開催日: 2026年7月26日
開催場所: 中部国際医療センター
対象: 小学5・6年生、中学生
申込者: 100名
当日参加者: 95名
体験プログラム: 手洗い、ユニフォーム、顕微鏡、 3D画像解析、リハビリ、病院探検、 アシストストレッチャー、夏の化学大実験
募集サイト: オープンホスピタル2026サマースペシャル