顕微鏡でミクロの世界をのぞき、 3D画像で体の中を観察し、 手術室や救急室を探検する。 71名の小中学生が中部国際医療センターを訪れ、 8つの医療体験を15分ずつ巡りながら、 病院で働く人、医療機器、 そして自分の体を守る仕事に出会いました。
本記事では、中部国際医療センターが主催する次世代医療人材育成プログラムを、協力・伴走支援を担うミライクエストの視点から紹介します。
プロジェクト概要
- 事業名
- 小中学生医療体験 CMSオープンホスピタル サマースペシャル2025
- 開催日
- 2025年7月27日
- 開催時間
- 9時00分~12時00分
- 開催場所
- 中部国際医療センター
- 対象
- 小学5・6年生、中学生
- 参加者
- 71名
- 主催
- 中部国際医療センター
- 専門企画・指導
- 中部国際医療センターの医師、看護師、 薬剤師、診療放射線技師、臨床検査技師、 リハビリテーション専門職などの医療従事者
- 協力・伴走支援
- ミライクエスト
- ミライクエストの役割
- 子どもたちが医療について知りたいことや 将来への問いを引き出し、 医療従事者と体験プログラムへつなぐ 企画・運営・バックオフィス支援
- 実施形式
- 8つの医療体験を各15分で巡るシャトル形式
- 申込フォーム回答
- 72件
- 体験後アンケート
- 33件
2025年7月27日、 中部国際医療センターで、 小学5・6年生と中学生を対象とした 「CMSオープンホスピタル サマースペシャル2025」が 開催されました。
参加したのは71名の子どもたちです。 美濃加茂市周辺をはじめ、 岐阜県内外から医療に関心を持つ 小中学生が集まりました。
当日は、 手洗い、ユニフォーム、顕微鏡、 3D画像解析、リハビリテーション、 病院探検、ストレッチャー、化学実験という 8つのプログラムを実施しました。
子どもたちはグループに分かれ、 15分ごとに次のブースへ移動する シャトル形式で、すべての体験を巡りました。
一つの職種だけではなく、 病院の中にある多様な仕事と技術へ 次々に出会うことで、 医療の世界を幅広く知る一日となりました。
15分ごとに、新しい医療の世界へ
小中学生コースの特徴は、 8つの異なる体験を 一日ですべて経験できることです。
各体験は15分。 時間になるとグループごとに次のブースへ移動し、 医師、看護師、薬剤師、 診療放射線技師、臨床検査技師、 リハビリテーション専門職などから 直接説明と指導を受けました。
医療従事者は、 専門的な内容を子どもたちにも伝わる言葉へ置き換え、 見る、触る、動かす、考えるという 体験に組み立てています。
短時間であっても、 「もっと知りたい」 「どうしてこうなるのだろう」という 次の問いが生まれることを大切にしたプログラムです。

正解を覚える前に、驚きと問いに出会う
小中学生の医療体験では、 専門知識をすべて理解することよりも、 初めて見る機器や仕事に驚き、 「なぜ」「どうして」と考えることを大切にしています。 その問いが、次の学びや将来の興味につながります。
医療の専門職が、自ら体験をつくる
8つの体験内容は、 中部国際医療センターで働く それぞれの専門職が考えました。
自分たちの仕事の何を伝えると、 子どもたちに医療の面白さや大切さが伝わるのか。
難しい内容をどのように説明すれば、 小学生や中学生にも理解できるのか。
医療従事者が試行錯誤しながら、 楽しさと学びの両方を備えた 体験プログラムをつくっています。
子どもたちにとっては、 医療職を本や映像の中で見るのではなく、 実際に働く人から学べることが 大きな特徴です。
中部国際医療センター
医療の専門性、設備、実際の病院環境を生かし、 各専門職が体験内容を企画して、 子どもたちへ直接指導します。
ミライクエスト
子どもたちの興味や問いを引き出し、 医療従事者と体験へつなぐため、 募集、準備、運営、振り返りまで伴走します。
子どもたちが持ってきた、医療への問い
ミライクエストは、 申込フォームの段階から、 参加の動機と、 医師や看護師へ質問したいことを 子どもたちから受け取っています。
申込フォームには、 医療職への夢を既に持っている子、 医療に興味を持ち始めた子、 さまざまな仕事を体験して 将来を考えたい子など、 異なる参加動機が記されていました。
このほか、 「医師や看護師になりたい夢を持っている」が9名、 「親や先生に勧められた」が9名、 「友だちに誘われた」が7名でした。
参加の入口は異なっていても、 申込時に自分の関心を言葉にすることが、 医療について考える最初の一歩になります。
参加前に寄せられた主な質問
- どうして医師や看護師になろうと思ったのですか
- 仕事のどのようなところに、やりがいを感じますか
- 医療の仕事で一番大変なことは何ですか
- 医師や看護師になるには、どうしたらよいですか
- 今から勉強しておくとよいことはありますか
- 仕事をするときに大切にしていることは何ですか
- 一日の仕事の流れや休みの日について教えてください
- 手術をするときに必ずしていることはありますか
- 注射を嫌がる子どもには、どのように対応しますか
- 今までで心に残っている出来事は何ですか
「血を見るのは怖くないですか」 「数学が苦手でも看護師になれますか」 「お休みの日は何をしていますか」といった、 子どもらしい率直な質問も寄せられました。
こうした問いを事前に受け取ることで、 医療従事者が伝えたいことと、 子どもたちが本当に知りたいことを 当日の対話の中で結びつけることができます。
8つの医療体験プログラム
手洗い、ちゃんとできてますか?
専用の機器などを使って、 自分の手に残った汚れを確認。 感染を防ぐための正しい手洗いを学びました。
インスタ映えするユニフォームはどれ?
医師や看護師などが着用するユニフォームを試着。 服装の違いから、病院で働く人々の役割を知りました。
ミクロの世界を見てみよう。
顕微鏡を使い、 赤血球や白血球など、 肉眼では見ることのできない世界を観察しました。
3D画像解析セミナー
医療現場で使われる3D画像を動かしながら、 体の中を立体的に観察。 画像が診断や治療を支える仕組みを学びました。
リハビリって何?
体が動かしにくい状態などを体験しながら、 病気やけがの後の生活を支える リハビリテーションの役割を学びました。
病院探検をしよう!
手術室、救急室、カテーテル治療を行う部屋など、 普段は入ることのできない病院の中を見学しました。
アシストストレッチャー体験
患者を安全に搬送するストレッチャーに触れ、 機器の仕組みや、 搬送時に必要な配慮を体験しました。
夏の化学大実験!
薬剤師と一緒に、 薬品を組み合わせた化学反応や、 薬を扱う仕事の一部を体験しました。

普段は入れない病院の中を探検する
アンケートで最も「良い」の評価が多かったのは、 「病院探検をしよう!」でした。
33名の回答者のうち、 32名が「良い」と評価しています。
手術室や救急室など、 病気やけがをしたとき以外には 入る機会のない場所を見ることで、 病院への印象が大きく変わりました。
手術を支援する機器を見たり、 医療従事者から設備の説明を聞いたりする中で、 子どもたちからは、 さらに病院の別の階や、 ヘリポート、ER、病室なども見たいという 新しい関心が生まれました。
病院が「こわい場所」から「知りたい場所」へ
病院は、病気やけがをしたときに訪れる場所という イメージを持たれがちです。 しかし、働く人や機器の役割を知ることで、 命と暮らしを守るための知恵が集まる場所として 見えるようになります。

体験から、医療職への興味が生まれる
体験後のアンケートには、 医療の仕事への関心が高まったという声が 複数寄せられました。
顕微鏡で血液の細胞を見たことから、 その仕事をしてみたいと感じた子。
医療機器や病院探検を通して、 臨床工学技士へ憧れを持った子。
明るく話しかけてくれた看護師の姿を見て、 自分もそのような人になりたいと 思いを強くした子もいました。
小中学生の段階で、 将来の職業を決める必要はありません。
しかし、 本物の仕事と人に出会うことで、 これまで知らなかった選択肢が見え、 自分の興味を育てることができます。
アンケートから見えた、体験の評価
体験後アンケート
| 体験プログラム | 「良い」 | 回答数 | 「良い」の割合 |
|---|---|---|---|
| 手洗い、ちゃんとできてますか? | 20件 | 33件 | 60.6% |
| インスタ映えするユニフォームはどれ? | 29件 | 33件 | 87.9% |
| ミクロの世界を見てみよう。 | 28件 | 33件 | 84.8% |
| 3D画像解析セミナー | 31件 | 33件 | 93.9% |
| リハビリって何? | 28件 | 33件 | 84.8% |
| 病院探検をしよう! | 32件 | 33件 | 97.0% |
| アシストストレッチャー体験 | 28件 | 33件 | 84.8% |
| 夏の化学大実験! | 28件 | 33件 | 84.8% |
特に高い評価を得たのは、 病院探検と3D画像解析セミナーでした。 普段は見ることのできない場所へ入ることや、 最先端の医療技術を自分で操作することが、 子どもたちの強い関心につながっています。
※各プログラムの割合は、アンケート回答33件を基準に算出しています。
参加した子どもたちと保護者の声
白血球や赤血球を顕微鏡で見る経験をして、 この仕事をしてみたいと思いました。
将来、医療系の仕事に就きたいという気持ちが さらに強くなりました。 臨床工学技士にも憧れを持つことができました。
手術室やICUを見ることができ、 普段はできない体験ができました。 手洗いや、体が動かしにくい人の大変さも学べました。
3D画像解析がとても面白かったです。 体の悪いところを画像で確認していることが分かり、 勉強になりました。
子どもは病院で働く人を 医師と看護師くらいしか知りませんでしたが、 実際に働く人と会い、 話を聞けたことがよい経験になりました。
興味を持った体験へ戻って、 さらに詳しく作業したり、 話を聞いたりできる機会もあるとうれしいです。
次回へ寄せられた新しい問い
アンケートには、 今後体験してみたい内容も書かれていました。
- ヘリポートや病室を見てみたい
- ERや病院の別の階をもっと探検したい
- 採血や血圧測定を体験してみたい
- AEDなど救急医療の体験をしてみたい
- 内視鏡や最新の医療機器を操作してみたい
- 看護師や各専門職の普段の仕事をもっと知りたい
- 興味を持ったブースで、さらに長く体験したい
体験後に生まれた 「もっと見たい」 「もっと知りたい」という声は、 次のプログラムをつくるための大切なデータです。
この活動から生まれたもの
OUTPUT|形になった成果
- 小中学生71名を対象とした医療体験プログラムの実施
- 医療専門職が企画・指導する8つの体験ブースの運営
- 各15分ですべての体験を巡るシャトル形式の導入
- 手洗いと感染予防に関する体験
- 医師・看護師などのユニフォーム試着
- 顕微鏡を使った血液細胞などの観察
- 3D医療画像を使った人体解析体験
- リハビリテーションの役割を知る体験
- 手術室・救急室などの病院探検
- アシストストレッチャーによる患者搬送体験
- 薬剤師と行う化学実験・薬剤体験
- 申込フォーム72件から参加動機と事前質問を収集
- 参加者・保護者への事前案内と連絡対応
- 病院各部署との運営調整、当日の受付・誘導・進行
- 体験後アンケート33件と264件のプログラム評価の収集
OUTCOME|子どもたちと医療現場に生まれた変化
- 子どもたちが病院内の多様な医療職を知った
- 医療機器や病院設備を身近に感じる機会が生まれた
- 医療職を将来の選択肢として考える子どもが生まれた
- 臨床工学技士など、これまで知らなかった職種への関心が広がった
- 手洗いや感染予防を自分の生活と結びつけて学んだ
- 病気やけがをした人の生活を支えるリハビリへの理解が深まった
- 医師や看護師へ仕事のやりがいや進路を直接質問できた
- 参加前の問いが医療従事者へ共有され、対話へつながった
- 医療従事者が自らの仕事を子ども向けに伝える機会となった
- 体験後に新しい疑問や、さらに体験したい内容が生まれた
IMPACT|これから地域に育てていく可能性
- 子どもたちが地域医療を身近に感じられる環境の形成
- 小中学生から高校生へ連続する医療キャリア教育の構築
- 子どもの問いを起点とした探究型医療体験モデルの発展
- 医療職への関心を長期的に育てるアフターフォローの形成
- 体験後の問いに応える発展コースや専門コースの検討
- 医療職の多様性を伝える地域キャリア教育の充実
- 学校、家庭、病院をつなぐ次世代医療教育ネットワークの形成
- 申込・アンケートデータを活用したプログラム改善
- 地域医療を支える次世代人材の裾野を広げる可能性
- 中部国際医療センターを次世代医療教育の拠点として発展させる可能性
- 他の病院や地域にも展開可能な運営・伴走支援モデルの形成
小さな問いを、未来の学びへ
小中学生の段階では、 医療の仕事について詳しく知らなくても 不思議ではありません。
医師と看護師以外に どのような人が病院で働いているのか。
体の中をどうやって調べるのか。
手術室にはどのような機器があり、 患者をどのように安全に運ぶのか。
実際の場所で、 本物の機器や専門職に出会うことで、 一つひとつの疑問が 自分の学びへ変わっていきます。
オープンホスピタルの目的は、 参加した子ども全員に 医療職を目指してもらうことではありません。
知らなかった世界に出会い、 自分が面白いと思ったことを見つけ、 「もっと知りたい」という問いを持ち帰ることです。
その問いが、 理科や保健の学習、 将来の進路、 地域医療への関心へと 少しずつつながっていきます。
子どもたちの問いを、医療の現場へつなぐ
オープンホスピタルの主催者は、 中部国際医療センター です。
医師、看護師、薬剤師、 診療放射線技師、臨床検査技師、 リハビリテーション専門職などが、 子どもたちに何を伝えたいかを考え、 各体験プログラムを企画し、 当日の専門指導を担っています。
ミライクエストの役割は、 子どもたちの中にある問いを引き出し、 その問いを医療従事者や 本物の医療体験へつなぐことです。
参加者募集と情報発信、 申込フォームの設計、 参加動機と事前質問の収集、 参加者情報の整理、 保護者への案内、 病院内の各担当部署との連絡調整を行います。
これらのバックオフィス業務は、 単に参加者を集め、 当日の運営を成立させるためだけのものではありません。
子どもたちが何に興味を持ち、 何を不思議に思い、 医療従事者へ何を聞きたいのかを 丁寧に受け取るための仕組みです。
当日は、 71名の参加者が8つの体験を 安全かつ円滑に巡れるよう、 受付、グループ編成、参加者誘導、 時間管理、ブース間の連絡、 全体進行を支えました。
これにより、 中部国際医療センターの各専門職は、 子どもたちとの対話と専門指導へ 集中することができます。
開催後には、 アンケートから体験の評価や 新しく生まれた問いを受け取り、 次回のプログラム改善へつなげます。
問いを引き出し、 医療の現場へ届け、 体験後に生まれた次の問いを 新しい学びへつなぐこと。
それが、 オープンホスピタルにおける ミライクエストの協力・伴走支援です。
オープンホスピタルの舞台、中部国際医療センター
中部国際医療センターには、 医師や看護師だけでなく、 診療、検査、治療、薬、リハビリテーション、 栄養、医療機器などを担う 多様な専門職が働いています。
子どもたちが手術室や救急室へ入り、 実際の医療機器に触れ、 専門職から直接学べることは、 病院が持つ設備と専門性、 そして次世代へ伝えようとする 職員の協力があってこそ実現できます。
オープンホスピタルを通して、 医療職の仕事だけでなく、 地域の健康と命を支える病院そのものを 知る機会にもなっています。
中部国際医療センターの施設や医療への取り組みを紹介する動画です。
当日の様子




小さな問いから、未来の可能性へ
ミライクエストは、 中部国際医療センターとともに、 子どもたちの中にある 「なぜ」「知りたい」を引き出し、 医療の専門性や現場で働く人とつなぎ、 次の学びと未来の可能性を育てています。
協力・伴走支援: ミライクエスト
開催日: 2025年7月27日
開催場所: 中部国際医療センター
対象: 小学5・6年生、中学生
参加者: 71名
実施内容: 8つの医療体験を各15分で巡るシャトル形式