次世代・探究

現場を見て、授業を考える。|マンガ教材探究型授業プログラム2025 #2

「この木は授業に使えるだろうか。」 「この沢で、子どもたちに何を感じてもらえるだろう。」 2025年10月15日、 加茂高校の高校生たちは、 11月の模擬授業の舞台となる 三和小学校と三和富士山道を訪れました。 今年度、初めてプログラムに組み込んだ 本番前の現地視察です。

机の上で授業を考えるだけではなく、 実際に歩き、見て、聞き、 子どもたちが日々学ぶ場所を知る。 現場から授業をつくるための 大切な一日となりました。

マンガ教材探究型授業プログラム2025|FIELD WORK #2

プロジェクト概要

事業名
市活委第4号 「マンガ教材を活用した教材開発ワークショップ開催」委託業務
実施日
2025年10月15日
時間
12:00〜15:00
テーマ
現地視察|三和小学校・三和富士山道
形式
フィールドワーク
参加
岐阜県立加茂高等学校 高校生16名
視察先
美濃加茂市立三和小学校、 三和富士山道、 三和交流センター
協力
三和小学校、 美濃加茂市関係者
企画・伴走
美濃加茂市/ミライクエスト
16名 加茂高校の参加高校生
初実施 本番前の現地視察
3時間 学校・地域・林道を巡るフィールドワーク

2025年度の 「マンガ教材探究型授業プログラム」では、 前年度までの実践をさらに一歩進め、 本番授業の前に 実際の授業場所を訪れる 「現地視察」を新たに取り入れました。

11月28日の本番では、 高校生自身が考えた授業を 三和小学校の児童に実践します。

その授業を、 頭の中だけでつくるのではなく、 子どもたちが日々過ごしている学校や、 実際に歩く林道を 自分自身の目で見たうえで考える。

そのためのフィールドワークです。

現場から、授業をつくる

01 見る
02 観察する
03 地域を知る
04 子どもを考える
05 授業へ変える

まずは、雨が降る前にフィールドへ

当日は天候が心配されていたため、 予定していた順番を入れ替え、 まず三和富士山道の視察から スタートしました。

本番では、 小学生と高校生が一緒に この林道を歩きます。

どのくらいの時間がかかるのか。

どこで立ち止まれるのか。

子どもたちに 何を見てもらえるのか。

授業で使えそうなものは どこにあるのか。

実際の授業を思い浮かべながら、 高校生たちは林道へ入っていきました。

三和富士山道を歩きながら現地を確認する加茂高校の高校生たち
三和富士山道へ入り、 実際の授業で子どもたちと歩くルートを確認。 「この場所で何ができるだろう」と、 授業の可能性を探していきます。

足元の植物も、授業の素材になる

林道へ入ると、 高校生たちの視線は 少しずつ変化していきました。

ただ道を歩くのではなく、 足元の植物や苔、 木々、沢の水、 落ち葉などへ目を向けます。

「子どもたちとここを歩く」 という目的を持つことで、 普段なら通り過ぎてしまうものが 授業の素材として見えてきます。

林道脇の植物をスマートフォンで記録しながら観察する高校生たち
足元の植物に目を留め、 しゃがみ込んで観察する高校生たち。 スマートフォンでも記録しながら、 授業の素材になりそうなものを 自分たちで探します。

視線を上げると、また違う森が見える

観察する対象は、 足元だけではありません。

木の高さ。 枝の広がり。 葉のつき方。 森の奥行き。

双眼鏡も使いながら、 高校生たちは 頭上にも視線を広げていきました。

三和富士山道で双眼鏡を使い木々を観察する高校生
木々を見上げ、 双眼鏡も使いながら森を観察。 地面だけでなく頭上まで視線を広げることで、 フィールドの中にある さまざまな発見を集めていきます。

同じ場所でも、「目的」が変われば見え方が変わる

林道をただ歩くのと、 「ここで小学生に授業をする」 と考えながら歩くのとでは、 見えるものが変わります。 この日の視察は、 高校生自身が地域を見る視点を 変える機会にもなりました。

水辺まで降りて、現場を確かめる

林道には、 木々や植物だけでなく 水の流れる場所もあります。

高校生たちは 沢の近くまで降り、 水の流れや石、 周囲の植物などを確認しました。

本番は限られた時間です。

どこまで子どもたちを案内できるのか。 どこなら安全に観察できるのか。

現地だからこそ分かることを 一つずつ確かめていきました。

三和富士山道の沢付近で水辺や周辺の自然を観察する高校生たち
林道脇の沢まで降り、 水の流れや石、 周囲の植物を観察。 子どもたちにどこまで体験してもらえるか、 安全面も含めて現場を確かめます。

子どもたちと歩く、その時間まで想像する

林道の視察では、 自然そのものを見るだけではなく、 本番での動きも確認しました。

児童と高校生が一緒に歩けば、 一人で歩くときとは 必要な時間も変わります。

立ち止まって観察する場所、 声をかけるタイミング、 集団で移動するときの安全。

「授業をつくる」という視点が、 フィールドを見る視点にも つながっていきます。

三和富士山道の橋を歩きながら現地の動線を確認する高校生たち
林道の橋を渡りながら、 実際に子どもたちと歩く動線を確認。 距離や移動時間、 立ち止まれる場所なども、 現地に来ることで具体的に見えてきます。

地域で暮らす人から、三和を知る

林道の視察を終えた後は、 三和小学校に隣接する 三和交流センターへ移動しました。

ここでは、 三和町出身の美濃加茂市職員である 天池さんから、 三和地区についてお話を伺いました。

高校生にとって、 授業で扱う「地域」は 地図や資料の中だけにあるものではありません。

そこで暮らしてきた人の言葉を聞くことで、 地域の風景と人の営みが 少しずつつながっていきます。

三和交流センター前で美濃加茂市職員の天池さんから地域について話を聞く高校生たち
林道視察の後、 三和交流センターへ。 地元・三和町出身の美濃加茂市職員、 天池さんから、 地域の特徴や暮らしについて お話を伺いました。

林道から学校へ。子どもたちの学びの環境を見る

その後、 三和小学校へ戻り、 校内を見学しました。

三和小学校では、 地域の自然環境とつながる 教育活動の一つとして、 長年ホタルの飼育に 取り組んでいます。

加藤教頭に校内をご案内いただき、 高校生たちは ホタルの飼育設備も 見学させていただきました。

自然が学校の外にだけあるのではなく、 学校の日常の学びの中にも 生きていることが見えてきます。

三和小学校でホタルの飼育設備を見学する高校生たち
三和小学校へ戻り、校内を見学。 長年取り組まれてきた ホタルの飼育設備も見せていただき、 地域の自然と学校教育が 日常の中でつながっていることを学びました。

「何を教えるか」の前に、「どう向き合うか」

校内見学の後には、 遠藤校長から 高校生たちへお話をいただきました。

11月28日、 高校生たちは 「先生」として小学生の前に立ちます。

そのとき、 教えたい内容だけを準備すれば 授業になるわけではありません。

子どもの反応を見る。 話を聞く。 分かっているかを確かめる。 一人ひとりの違いに気づく。

遠藤校長のお話を通して、 「子どもとどう向き合うのか」という 教師として大切な視点を 改めて考える時間となりました。

三和小学校の遠藤校長を囲み子どもとの接し方について話を聞く高校生たち
遠藤校長を囲み、 子どもたちとの接し方について お話を伺いました。 「何を教えるか」だけではなく、 「どう子どもたちと向き合うか」を 考える時間になりました。

見たこと、感じたことを授業へ変える

視察の最後は、 三和小学校の理科室をお借りして グループごとに振り返りました。

林道で気になったもの。

子どもたちに見せたいもの。

地域の話を聞いて感じたこと。

学校の中で気づいたこと。

それぞれが集めた情報を共有しながら、 「では、自分たちはどんな授業をつくるのか」 という問いへ戻っていきます。

三和小学校の理科室で現地視察後の振り返りを行う高校生たち
視察の最後は 三和小学校の理科室でグループごとに振り返り。 現地で見つけたこと、 気になったことを共有しながら、 本番授業にどう生かすかを話し合いました。

なぜ、今年から「現地視察」を入れたのか

このプログラムでは、 これまでも高校生自身が 授業内容を考えてきました。

しかし、 実際の場所を知らないまま 授業を設計することには 限界があります。

どんな森なのか。

どんな道を歩くのか。

どんな自然があるのか。

子どもたちは どんな学校で学んでいるのか。

その地域には どんな人たちが暮らしているのか。

現場へ行くことで、 授業計画の中に 「具体的な場所」と 「具体的な子どもたち」が 入ってきます。

教材から現場へ。現場から、もう一度教材へ。

マンガ教材には、 美濃加茂市の里山や地域資源が 描かれています。 その教材を読んだ高校生が、 実際の地域へ足を運ぶ。 そこで得た発見を持ち帰り、 今度は子どもたちへ伝える授業へ変えていく。 教材と現場を往復することが、 2025年度のプログラムの 大きな進化の一つです。

この活動から生まれたもの

OUTPUT|形になった成果

  • 2025年度で初めて本番前の現地視察を実施
  • 加茂高校の高校生16名が参加
  • 本番授業で使用する三和富士山道を事前に視察
  • 林道の植物・木々・沢などを授業素材の視点から観察
  • 実際に児童と歩くルート・時間・安全面を確認
  • 三和交流センターで地域について話を聞く機会を設定
  • 三和小学校の校内を見学
  • ホタル飼育の設備を見学
  • 遠藤校長から子どもとの接し方について助言を受けた
  • 視察後に理科室でグループごとの振り返りを実施

OUTCOME|高校生に生まれた変化

  • 授業の舞台を具体的にイメージできるようになった
  • 普段なら通り過ぎる自然を「授業の素材」として見る視点が生まれた
  • 限られた時間の中で何ができるかを現場から考えられるようになった
  • 児童の安全や移動まで含めて授業を考える視点が加わった
  • 地域の自然と学校教育とのつながりへの理解が深まった
  • 「何を教えるか」だけでなく「子どもとどう向き合うか」という視点が加わった
  • グループごとの授業計画をより具体化する材料が集まった

IMPACT|育てていきたい変化

  • 地域そのものを次世代の学びのフィールドとして活用する仕組みの形成
  • 高校生が地域を自分の目で見て、その価値を次の世代へ伝える循環の形成
  • 高校・小学校・行政・地域をつなぐ継続的な教育連携
  • 教材だけで完結せず、現場体験と組み合わせる探究型教育モデルへの発展
  • 地域の自然や営みを次世代へ伝える担い手の育成
  • フィールドで得た気づきを授業や実践へ変換する力の育成

現場を知ることで、授業は変わる

10月4日の第1回ワークショップでは、 高校生たちは 「どんな授業をしたいか」を 自分たちの中から考え始めました。

そして今回、 実際のフィールドへ入りました。

森を歩く。

植物を見る。

沢を見る。

地域の人の話を聞く。

学校を見る。

先生から子どもとの向き合い方を聞く。

そして最後に、 自分たちの授業へ戻る。

「現場を見る」という一つのプロセスが加わったことで、 高校生たちの授業づくりは、 より具体的なものへ進み始めました。

美濃加茂市

高校生が地域の現場へアクセスできるよう、 三和地区・三和小学校との調整や 移動手段を含めた環境を整え、 地域を学びの場として開いていきます。

ミライクエスト

高校生が自ら見つけ、考え、 授業へ変えていくプロセスを設計。 学校、行政、地域の人々をつなぎながら、 本番の模擬授業まで継続して伴走します。

教える前に、まず自分たちが地域を知る。

子どもたちへ里山の大切さを伝えるなら、 まず自分たち自身が その場所を歩いてみる。 木を見て、 水を見て、 地域の人の話を聞き、 子どもたちが学ぶ学校を見る。 その一つひとつの原体験が、 これから高校生たちがつくる 授業の土台になっていきます。

事業: 市活委第4号 「マンガ教材を活用した教材開発ワークショップ開催」委託業務
実施日: 2025年10月15日
実施時間: 12:00〜15:00
対象: 岐阜県立加茂高等学校 高校生16名
実施場所: 三和富士山道、 三和交流センター、 美濃加茂市立三和小学校
協力: 三和小学校、 美濃加茂市関係者
企画・伴走: 美濃加茂市/ミライクエスト

次世代に原体験を。地域には知の資産を。

ミライクエストは、 地域そのものを学びと実践のフィールドにし、 次世代が自ら問いを見つけ、 人と出会い、 小さな実践へつなげる機会を 地域・行政・教育機関とともに育てていきます。

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