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海と生きる地域の強さに触れる|岩手・大船渡フィールドワーク2025

ミライクエスト共創パートナー|伴走支援プロジェクト
本記事では、東大生地方創生コンソーシアムが主体となって実施した活動を、 共創パートナーであるミライクエストの視点から紹介します。 2025年6月、東京大学の学生4名が岩手県大船渡市を訪れ、 水産業の現場、震災と森林火災の記憶、地域の方々の暮らし、 碁石海岸をはじめとする自然や観光資源について学びました。

プロジェクト概要

事業名
岩手・大船渡フィールドワーク2025
実施期間
2025年6月7日~6月8日
実施地域
岩手県大船渡市
参加者
東大生地方創生コンソーシアム所属学生 4名
実施主体
東大生地方創生コンソーシアム
共創パートナー
ミライクエスト
主なテーマ
水産業の現場体験、震災と森林火災の記憶、 地域住民との交流、自然・観光資源の体験、 今後の大船渡プロジェクトに向けた関係づくり

2025年6月7日から8日まで、 東大生地方創生コンソーシアムの学生4名が、 岩手県大船渡市でフィールドワークを実施しました。

今回の活動は、 2025年3月から大船渡との関係を築いてきた学生が企画したものです。

夏以降に大船渡で新たなプロジェクトを実施することを見据え、 コンソーシアムのメンバーが地域の産業、自然、災害の記憶、 そして地域で暮らす方々について理解を深めることを目的としました。

水産業の現場で長時間の作業を体験し、 震災遺構や森林火災の被災地を訪れ、 地域の家庭で食卓を囲み、 碁石海岸や大船渡駅周辺を歩く。

観光だけでは見えない大船渡の姿を、 海、産業、災害、人との関係という 複数の視点から学ぶ2日間となりました。

水産業の現場に入る、ホタテの耳釣りボランティア

初日の中心となったのは、 崎浜漁港で行われた 「ホタテの耳釣りボランティア」です。

夜行バスで大船渡へ到着した学生たちは、 そのまま漁港へ移動し、 約8時間にわたってホタテの養殖作業に参加しました。

この活動は、 大船渡市民活動支援センターと 地域のホタテ漁師によって実施されている取り組みです。

森林火災や地球温暖化による環境変化、 漁業の担い手不足といった課題に向き合いながら、 水産業の技術や文化を次の世代へ伝えることも 目的の一つとなっています。

大船渡市の崎浜漁港でホタテの耳釣り作業を体験する学生
崎浜漁港で、ホタテを養殖用のロープにつるす「耳釣り」の作業を体験しました。

一枚ずつ付着物を取り除く

作業は、大きく二つに分かれます。

一つ目は、 ホタテの貝殻に付着した生物や汚れを、 ナタを使って一枚ずつ取り除く作業です。

二つ目は、 貝殻に開けられた小さな穴にピンを通し、 養殖用のロープへつるす耳釣り作業です。

何百枚ものホタテを扱うため、 作業には集中力と体力が求められます。

学生たちは、地域の方々や地域おこし協力隊の方と一緒に作業しながら、 大船渡の水産業や暮らしについて話を伺いました。

ホタテの貝殻についた付着物を取り除く作業をする学生
ホタテの貝殻についた付着物を一枚ずつ取り除き、養殖の現場を支える作業に取り組みました。

地域産業を、見るのではなく支える側へ

漁港を見学するだけではなく、 実際の作業に参加し、地域の方と同じ時間を過ごす。 自分の手を動かすことで、 水産物が育ち、食卓へ届くまでに必要な労力や技術、 担い手不足という課題を、より具体的に理解することができます。

震災の記憶を伝える、越喜来地区の「潮目」

ホタテ作業の後、 学生たちは越喜来地区を訪れました。

ここでは、震災の記憶を伝える場所 「潮目」と、地域の交流拠点となっている 「ニューオキライ」を見学しました。

潮目は、東日本大震災の直後、 地域の一人の住民が、 子どもたちが集まれる場所をつくりたいという思いから 自ら整備した場所です。

現在は、震災にまつわる写真や言葉を残し、 記憶や経験を次の世代へ伝える場所であるとともに、 ハイカーなどが休憩する場所としても使われています。

学生たちは、壁一面に残された言葉や写真を見ながら、 震災当時の状況と、 地域の人がその後どのように歩んできたのかについて考えました。

大船渡市越喜来地区で震災の記憶を伝える施設を訪れる学生
越喜来地区を訪れ、震災の記憶を伝える場所と地域の交流拠点について学びました。

地域の日常を支える交流の場所

ニューオキライでは、 偶然居合わせた地域おこし協力隊の方から、 地域での活動や暮らしについて話を伺いました。

フィールドワークでは、 予定されたヒアリングだけでなく、 偶然出会った人との会話から、 地域の現状や魅力を知ることもあります。

誰かが立ち寄り、 会話が生まれ、 地域の内外の人がつながる場所があることは、 地域の関係人口を育てるうえでも重要です。

地域の家庭で食卓を囲む

初日の夜には、 以前ワカメボランティアでお世話になった 山下さんのお宅を訪問しました。

カレーや豚汁、茎わかめの酢の物、 マグロの中落ちをのせた丼など、 地域の家庭料理を囲みながら、 ゆっくりと話を伺いました。

学生たちにとって、 地域の方の暮らしの中へ入り、 家庭の食卓を囲みながら話すことは、 地域との距離を大きく縮める体験となりました。

大船渡市の地域住民と交流した学生たちの集合写真
地域の方々と食卓を囲み、大船渡の暮らしや震災、森林火災について話を伺いました。

家のすぐそばまで迫った森林火災

食事の後には、 山下さん宅の裏側に残る森林火災の跡も案内していただきました。

火は、家のすぐ近くまで迫っていたといいます。

学生たちは、 火災当時の状況や避難の様子、 その後の生活について、真剣に話を聞きました。

ニュースや資料で被害を知ることと、 実際にその場所へ立ち、 被災した方から直接話を聞くことには、 大きな違いがあります。

大船渡は、東日本大震災だけでなく、 森林火災という新たな災害にも直面しました。

それでも地域で暮らし続け、 訪れた学生をあたたかく迎える方々の姿は、 参加者に強い印象を残しました。

地域へ戻りたくなる理由は、人との関係から生まれる

美しい景観や地域資源だけでなく、 自分を迎えてくれた人との関係が、 「また訪れたい」という気持ちを生み出します。 食卓を囲み、暮らしや経験を共有する時間は、 地域と学生の継続的な関係を育てる大切な入口になります。

碁石海岸で、大船渡の自然を体感する

2日目には、末崎地区の碁石海岸を訪れました。

碁石海岸には、 雷岩、穴通磯、碁石浜など、 長い時間をかけて自然が形づくった特徴的な景観があります。

地域おこし協力隊の方に案内していただきながら、 学生たちは海岸や森林の中を歩きました。

海を眺める学生、 写真を撮る学生、 碁石のような黒い石を探す学生など、 それぞれが自分の感覚で地域の自然を楽しみました。

岩手県大船渡市の碁石海岸を訪れた学生たち
碁石海岸を訪れ、三陸沿岸の豊かな自然と大船渡の観光資源を体験しました。
碁石海岸の岩場を散策する学生
海岸や森林を歩きながら、地域の自然環境と景観の魅力を自分たちの目で確かめました。

地域を好きになることも、関わりの始まり

地域課題を学ぶフィールドワークでは、 問題や困難に目を向けることが多くなります。

しかし、地域の自然を楽しみ、 食べ物を味わい、 また来たいと思える体験を持つことも重要です。

課題意識だけでなく、 地域への愛着や楽しさがあるからこそ、 継続的に関わりたいという思いが生まれます。

大船渡駅周辺から、復興後のまちづくりを見る

フィールドワークの最後には、 大船渡駅周辺を自由に歩きました。

大船渡市では、 東日本大震災後の復興まちづくりとして、 海岸に近い区域に商業施設やホテル、公園などが整備されています。

海辺の公園には、 震災を伝える碑や、 津波被害を受けた当時の時計なども残されています。

学生たちは、震災遺構を見学するとともに、 おさかなセンターや商業施設を訪れ、 食事や買い物を楽しみました。

岩手県大船渡市の魚市場を訪れた学生
大船渡の水産業を支える魚市場周辺を訪れ、地域産業と復興後のまちの姿を見学しました。

前日に作業したホタテを、 翌日には地域の食として味わう場面もありました。

生産の現場と消費の場を続けて体験することで、 水産物が地域経済や観光とどのようにつながっているのかを、 より具体的に考えることができます。

また、建築に関心を持つ学生の提案によって、 駅周辺の建物を見て回る小さな建築ツアーも行われました。

地域の方へその場で話を聞くなど、 学生自身の興味関心から、 新たな学びも生まれました。

大船渡駅周辺のフォトスポットを訪れた学生
大船渡駅周辺を歩き、復興後のまちづくりや地域の商業・観光について考えました。

学生が現場から感じたこと

ボランティアや地域おこし協力隊の方々、 地域のご家族との交流を通じて、 大船渡のことをもっと深く知りたいと思いました。

震災と森林火災の被害の深刻さを実感するとともに、 現地の方々がたくましく暮らし、 歩み続けている姿に勇気づけられました。

ホタテ作業、震災遺構の見学、地域の方との交流、 碁石海岸の自然を通して、 海とともに生きてきた大船渡の人々の強さを感じました。

森林火災の被害を目の当たりにし、 復興の先行きに危機感を持ちました。 これからもさまざまな形で、 大船渡との関わりしろを探していきたいと思いました。

この活動から生まれたもの

OUTPUT|学生たちが形にした成果

  • 崎浜漁港での約8時間のホタテ耳釣りボランティア
  • ホタテの付着物除去と養殖用ロープへの耳釣り作業
  • 漁師や地域おこし協力隊、地域住民へのヒアリング
  • 越喜来地区の震災伝承施設「潮目」の見学
  • 地域交流拠点「ニューオキライ」の訪問
  • 地域住民の家庭での夕食交流
  • 森林火災の被災状況と避難経験に関する聞き取り
  • 雷岩、穴通磯、碁石浜など碁石海岸の地域資源の体験
  • 地域おこし協力隊との交流と今後の連携に向けた関係づくり
  • 大船渡駅周辺の震災遺構、商業施設、建築の調査
  • 大船渡の水産物や地域商品の購入・体験
  • 学生によるフィールドワーク報告書の作成

OUTCOME|学生と地域に生まれた変化

  • 学生が大船渡の水産業を作業者の視点から理解した
  • 水産業の担い手不足や環境変化への理解が深まった
  • 生産現場と地域の食・観光・経済のつながりを体感した
  • 震災と森林火災という二つの災害を現場から学んだ
  • 災害の記憶を地域で伝え続ける重要性を理解した
  • 地域住民との近い交流によって、大船渡への愛着が生まれた
  • 地域おこし協力隊や漁業者との新しい関係が形成された
  • 学生自身の興味から建築や地域産業を調べる行動が生まれた
  • 自然や食を楽しむことが継続的な地域参加につながると実感した
  • 学生の中に、再び大船渡を訪れたいという意識が育まれた

IMPACT|これから地域に育てていく可能性

  • 学生が継続的に大船渡の水産業を支援するボランティアの仕組みづくり
  • ホタテやワカメなどを題材にした水産業体験・探究プログラムの形成
  • 漁業者と大学生による担い手不足や環境変化に関する共同調査
  • 森林火災の復旧・復興に学生が関わる継続的な活動の創出
  • 震災と森林火災の記憶を次世代へ伝える学習プログラムの形成
  • 大船渡の地域住民、地域おこし協力隊、学生をつなぐネットワークの構築
  • 碁石海岸や漁業体験を組み合わせた新しい関係人口プログラム
  • 水産物、観光、地域の食を組み合わせた商品・体験開発
  • 大船渡駅周辺の建築や復興まちづくりを題材にした学生調査
  • 地域の家庭や事業者と学生が継続的に交流する受け入れ体制の形成
  • 大船渡を、災害復興だけでなく未来の地域産業を共に考えるフィールドへ発展させる可能性

海と生きる地域の強さに触れる

今回のフィールドワークでは、 大船渡の水産業を体験するだけでなく、 震災と森林火災という二つの大きな災害に向き合いながら、 地域で暮らし続ける人々の姿に触れました。

海は、地域に産業と食と美しい景観をもたらします。

一方で、津波や気候変動など、 地域の暮らしを脅かす存在にもなります。

大船渡では、 海から離れるのではなく、 海とともに暮らし、産業を続け、 地域の未来をつくろうとする人々がいます。

地域を理解するためには、 課題を知るだけでなく、 実際に作業し、食卓を囲み、 自然を楽しみ、 そこで暮らす人の声を聞くことが必要です。

一度の訪問で終わるのではなく、 今回出会った人や場所との関係を、 次の調査や活動へつないでいくこと。

それが、今回のフィールドワークから始まる 次の大切なステップです。

東大生の挑戦に寄り添う、ミライクエストの伴走支援

本活動の企画、訪問、作業、ヒアリングを主体的に担ったのは、 東大生地方創生コンソーシアムの学生たちです。

学生自身が地域との関係を築き、 水産業の現場へ入り、 地域の方々の声を聞き、 次のプロジェクトの可能性を探りました。

ミライクエストは、 東大生地方創生コンソーシアムの共創パートナーとして、 学生たちの主体性を尊重しながら、 現場で得た学びが次の調査や実践へつながるよう伴走しています。

大切にしているのは、 ミライクエストが学生に答えを与えることではありません。

学生が自分自身の関心から問いを持ち、 地域の方との関係を築きながら、 自分たちの言葉で次の行動をつくれる環境を整えることです。

一度のフィールドワークを一過性の経験で終わらせず、 次の訪問、研究、実践、 地域との継続的な関係へつなげていくこと。

それが、ミライクエストの伴走支援の役割です。

地域と一緒に、人と事業を創る研究所

ミライクエストは、次世代、企業、行政、大学、地域をつなぎ、 現場で生まれた問いや学びを、 次の調査、実践、研究、事業へつなげていきます。

実施主体: 東大生地方創生コンソーシアム
共創パートナー: ミライクエスト
実施期間: 2025年6月7日~6月8日
実施地域: 岩手県大船渡市
参加者: 東大生地方創生コンソーシアム所属学生4名

東大生地方創生コンソーシアムについて

地域に関心を持つ東京大学の学生がつながり、 全国各地の現場に入りながら、調査・実践・提案に取り組んでいます。

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