授業を受ける子どもたちは、 一人ひとり違う背景を持っています。 2023年12月23日、 岐阜県立加茂高等学校の高校生10名が集まり、 マンガ教材を使った授業計画を考えるとともに、 美濃加茂市で幼少期から育った オタビオさんの話を聞きました。
美濃加茂市は、 外国にルーツを持つ住民が多く暮らす地域です。 2024年3月に授業を行う三和小学校にも、 多様な文化的背景を持つ子どもたちがいます。 「何を教えるか」だけでなく、 「誰に、どう伝えるのか」。 今回は、授業を受ける子どもたちの背景にも 視野を広げるワークショップとなりました。
プロジェクト概要
- プログラム
- マンガ教材探究型授業プログラム
- 実施日
- 2023年12月23日
- 参加
- 岐阜県立加茂高等学校 高校生10名
- テーマ
- マンガ教材の振り返り、 授業計画の検討、 多文化な地域で育つことについて考える
- ゲスト
- オタビオさん
- ゲスト紹介
- NPO法人ブリッジ
- 最終実践
- 2024年3月18日 美濃加茂市立三和小学校
- 企画・伴走
- ミライクエスト
12月2日に始まった、 2023年度のマンガ教材探究型授業プログラム。
12月16日には、 長年学校現場で子どもたちと向き合ってきた 日比野安平先生から、 教師として子どもとどう接するのかについて 話を聞きました。
そして3回目となった12月23日。
部活動などの都合で 前回まで参加できなかった生徒も加わり、 10名の高校生が集まりました。
ここから、 2024年3月18日に予定している 三和小学校での実際の授業に向けて、 より具体的な授業づくりへ進んでいきます。
もう一度、マンガ教材を読み直す
この日、最初に行ったのは、 これまで先輩たちが制作し、 授業にも活用してきた 美濃加茂市版のマンガ教材を 改めて読み込むことでした。
この教材は、 美濃加茂市の里山や地域資源、 地域の課題などについて、 高校生たち自身が地域へ入り、 人に話を聞き、 データを集めながら制作してきたものです。
しかし、 今年度参加する高校生にとっては、 先輩がつくった教材でもあります。
だからこそ、 まず自分自身が内容を理解し、 「この教材から何を伝えたいのか」を 自分の言葉で考える必要があります。

前年度の実践を、次の授業へつなぐ
このプロジェクトは、 今年突然始まったものではありません。
2021年度には、 加茂高校の高校生たちが 地域を調査し、 地域の人へのヒアリングを重ねながら マンガ教材そのものを制作しました。
2022年度には、 その教材を使い、 高校生自身が授業計画を考え、 美濃加茂市から公募で集まった小学生を対象に ぎふ清流里山公園で授業を実施しました。
そして2023年度は、 実際の学校である三和小学校で 授業を行う段階へ進みます。
毎年ゼロから始めるのではなく、前の実践を次へ渡す
先輩が地域を調べて教材をつくり、 次の高校生がその教材を使って授業を行う。 さらに、その実践から得た経験を 次の世代が受け継いでいく。 このプログラムでは、 教材だけでなく、 高校生たちの経験そのものも 次の学びへ引き継がれていきます。
「自分なら、どんな授業をするか」
教材を読み返した後は、 3月の授業をイメージしながら、 どのような授業にしたいのかを考えていきました。
まずは一人ひとりが考える。
そして、 それぞれの考えを持ち寄って話す。
同じ教材を読んでいても、 「面白い」と感じる部分も、 小学生に伝えたい内容も、 人によって違います。
その違いを出し合うことで、 一人だけでは思いつかなかった 授業のアイデアも生まれていきます。

授業を受けるのは、「地域で暮らす子どもたち」
そしてこの日は、 授業づくりを考えるうえで もう一つ重要な視点を取り入れました。
それは、 「自分たちは、どんな子どもたちに授業をするのか」 ということです。
美濃加茂市は、 外国にルーツを持つ住民が多く暮らし、 学校でもさまざまな文化的背景を持つ 子どもたちが一緒に学ぶことが 日常の風景になっています。
今回授業を行う三和小学校にも、 多文化な背景を持つ子どもたちがいます。
そこで、 NPO法人ブリッジから紹介いただき、 美濃加茂市で幼少期から過ごしてきた オタビオさんに、 ご自身の経験について話していただきました。

同じ地域で育っていても、見えている風景は違う
高校生たちも、 美濃加茂市やその周辺で生活しています。
外国にルーツを持つ友人や クラスメートがいることも、 特別なことではありません。
しかし、 同じ学校、 同じ地域で暮らしていても、 それぞれが経験してきたことや、 見えている社会が まったく同じとは限りません。
誰かの実際の経験を聞くことで、 普段は当たり前に見えている地域を、 別の視点から見直すことができます。
教える相手を「小学生」という一つの括りで見るのではなく、 一人ひとりに異なる経験や背景があることを想像する。 それも、授業をつくるうえで大切な準備です。
地域を知ることが、授業づくりにつながる
マンガ教材のテーマは、 美濃加茂市の里山や地域資源です。
けれども、 「地域を知る」ということは、 自然や農業、文化、歴史を知るだけではありません。
そこにどんな人が暮らしているのか。
どんな背景や経験を持っているのか。
地域の中で、 どんな関係が生まれているのか。
そうした人の営みもまた、 地域を形づくる大切な要素です。
高校生自身が地域の多様な人の声を聞き、 その経験を踏まえて授業を考える。
ここにも、 ミライクエストが大切にする 「地域をフィールドにした探究」があります。
「何を教えるか」から、「誰にどう伝えるか」へ
第1回では、 マンガ教材を読みながら 授業づくりをスタートしました。
第2回では、 日比野安平先生から 教師として子どもとどう向き合うのかを学びました。
そして今回、 実際に地域で育った人の話を聞くことで、 子どもたちの背景にも視野を広げました。
プログラムが進むにつれて、 高校生たちが考える問いも変化していきます。
01 何を伝えるか
マンガ教材を読み込み、 美濃加茂市の里山や地域資源について 小学生に何を伝えたいのかを考える。
02 子どもとどう向き合うか
先輩教師の経験から、 一方的に説明するのではなく、 目の前の子どもを見ることを考える。
03 誰に、どう伝えるか
地域で暮らす人の経験を聞き、 子どもたち一人ひとりの背景を想像しながら 授業を考える。
この活動から生まれたもの
OUTPUT|形になった成果
- 2023年度マンガ教材探究型授業プログラム第3回を実施
- 加茂高校から高校生10名が参加
- 美濃加茂市版マンガ教材を改めて読み込み、内容を共有
- 前年度までの教材開発・授業実践を振り返る機会を設定
- 三和小学校での授業を想定した個人・グループでの検討を実施
- NPO法人ブリッジの紹介によりオタビオさんとの対話機会を実施
- 美濃加茂市で育った多文化的な経験に触れる学習機会を形成
OUTCOME|高校生に生まれ始めた変化
- 先輩が制作した教材を自分自身の授業として捉え直す機会となった
- 「何を教えるか」だけでなく「誰に伝えるか」への意識が広がった
- 授業を受ける子どもたちの背景を想像する視点が生まれた
- 同じ地域でも人によって異なる経験があることに触れた
- 多文化な地域社会を身近な現実として考える機会となった
- 個人の考えをグループで共有し、授業イメージを広げる機会となった
- 三和小学校での実践をより具体的に意識する段階へ進んだ
IMPACT|地域・教育に育ち始めている変化
- 高校生が地域の多様な住民から直接学ぶ機会の形成
- 多文化共生を知識だけではなく地域の人との対話から学ぶモデルの形成
- 地域探究と授業開発を接続する実践型教育の蓄積
- 高校生が地域の小学生へ学びを還元する世代間循環の形成
- 高校・小学校・地域人材・NPOをつなぐ教育ネットワークの形成
- 子どもの多様な背景を意識した授業づくりへの発展
- 地域そのものを教材として学ぶ探究型教育の継続的な蓄積
授業づくりは、地域を知ることから始まる
授業計画というと、 教材、時間配分、 説明の仕方などに意識が向きがちです。
しかし、 実際の教室には 一人ひとり違う子どもたちがいます。
その子どもたちは、 地域の中で暮らし、 家庭や文化、人との関係の中で育っています。
だからこそ、 授業をつくることは、 教材を知るだけではなく、 地域と人を知ることでもあります。
今回のワークショップを通して、 高校生たちの視点は、 マンガ教材から、 教師、 そして授業を受ける子どもたちへと 少しずつ広がっていきました。
岐阜県立加茂高等学校
高校生が地域を題材としたマンガ教材を読み込み、 仲間と対話しながら、 三和小学校での実際の授業に向けて 自ら授業を考えていきます。
ミライクエスト
高校生、学校、地域住民、NPOなどをつなぎ、 教材を読むだけでは得られない 地域のリアルな声や経験に触れる機会を設計しながら、 授業実践までのプロセスに伴走します。
マンガ教材探究型授業プログラム 2023年度
#1|2023年12月2日
マンガ教材を改めて読み込み、
三和小学校での授業へ向けた
授業開発をスタート。
#2|2023年12月16日
日比野安平先生から、
教員として子どもとどう向き合うのかを学ぶ。
#3|2023年12月23日
オタビオさんの経験を聞きながら、
多文化な地域で暮らす子どもたちを想像し、
「誰にどう伝えるか」を考える。
2024年3月18日の 三和小学校での授業実践に向けて、 高校生たちの授業づくりはさらに続いていきます。
「何を教えるか」から、「誰にどう伝えるか」へ
マンガ教材を読み、 先輩教師から子どもとの向き合い方を学び、 今度は地域で育った人の経験に触れる。 一つひとつの対話を重ねることで、 高校生たちの授業づくりは、 単に教材の内容を説明するものから、 目の前にいる子どもたちを想像するものへと 少しずつ深まっていきます。 地域を知り、人を知り、 その先にいる子どもを考える。 三和小学校での実践へ向けた準備が、 また一歩進みました。
実施日: 2023年12月23日
参加: 岐阜県立加茂高等学校 高校生10名
ゲスト: オタビオさん
ゲスト紹介: NPO法人ブリッジ
最終実践: 2024年3月18日 美濃加茂市立三和小学校
企画・伴走: ミライクエスト
地域を知り、人を知り、次の世代へ伝える
ミライクエストは、 高校生が地域のリアルな人や経験に触れ、 自ら問いを持ち、 その学びを次の世代へ渡していく 探究と実践の機会を育てていきます。