2024年11月26日。 岐阜県立加茂高等学校の高校生18名が、 美濃加茂市立三和小学校の全校児童31名を前に、 自分たちで考え、つくり上げてきた授業を実践しました。
2021年度のマンガ教材制作から始まり、 高校生自身による授業開発へと発展してきた 「マンガ教材探究型授業プログラム」。 2024年度は、 1年生から6年生までを混ぜた6つのクラスを相手に、 高校生6グループがそれぞれ異なる授業に挑戦しました。
プロジェクト概要
- 実施日
- 2024年11月26日
- 実施時間
- 13:05〜14:50
- 実施場所
- 美濃加茂市立三和小学校
- 高校生参加者
- 岐阜県立加茂高等学校 18名
- 小学生参加者
- 三和小学校 全校児童31名(1〜6年生)
- 授業グループ
- 6グループ
- 授業構成
- アイスブレイク → 林道散策 → 教室での授業
- 教材
- 美濃加茂市の地域資源・里山・SDGsをテーマとしたマンガ教材
- 企画・伴走
- 美濃加茂市/ミライクエスト
- 協力
- 岐阜県立加茂高等学校、 美濃加茂市立三和小学校、 日比野安平先生ほか
「授業を受ける側」から、「授業をつくる側」へ
高校生たちは、 10月から約2か月にわたり、 小学生へどのような授業を届けるのかを グループごとに考えてきました。
教材を読むだけではありません。
小学生とどう距離を縮めるか。 どんな言葉なら伝わるか。 どうすれば楽しんでもらえるか。 何を問いかければ、 自分自身で考えてもらえるか。
その答えを、 高校生自身が探しながら 授業を組み立ててきました。
2024年度の大きな挑戦
前年度は学年ごとに授業を行いましたが、 2024年度は1年生から6年生までを混ぜた 6つのクラス編成で実施しました。
高校生は本番まで、 自分たちが担当するクラスの学年構成を 詳細には知りません。 年齢の違う子どもたちを前に、 言葉を変える、絵を使う、問い方を工夫するなど、 その場で柔軟に対応することも 学びの一つとなりました。
まずは教室を整え、自分たちの授業を準備する
高校生たちは三和小学校へ到着すると、 それぞれのグループに分かれ、 教材や道具を確認しながら 本番の準備を進めました。

3つの時間をつないだ、約2時間の授業
① アイスブレイク
自己紹介やゲームなどを通して、 高校生と小学生の距離を縮めます。
② 林道散策
三和の里山へ入り、 実際の自然を見て、触れて、感じます。
③ 教室での授業
マンガ教材や林道での体験を使い、 6グループそれぞれの方法で授業を行いました。
授業終了
約2時間の実践を終え、 高校生たちは一つの大きな挑戦をやり切りました。
最初に考えたのは、「何を教えるか」ではなく「どう仲良くなるか」
今年度の高校生たちが 特に大切にしていたのが、 小学生とのコミュニケーションでした。
いきなり授業を始めるのではなく、 まずは自己紹介をし、 一緒に笑ったり、 ゲームをしたりしながら 距離を縮めていきます。





教室を出て、里山へ
アイスブレイクの後は、 三和小学校のすぐ近くにある 林道へ向かいました。
教室で里山について説明する前に、 まず自分たちの目で見る。
木を見る。 葉を見る。 山の空気を感じる。 道を歩く。
何を見つけたのか、 何が気になったのか。
その体験が、 後半の授業の材料になっていきます。


同じ教材でも、授業は6通り
林道から教室へ戻ると、 いよいよ高校生たちが考えてきた 本番の授業です。
興味深かったのは、 同じマンガ教材、 同じ「里山」というテーマを使っていても、 グループによって授業の形が 大きく異なっていたことです。
マンガ教材から「里山とは?」を考える
マンガ教材を一緒に読みながら、 里山や地域資源について 高校生が問いを投げかけ、 子どもたちと考えていく授業です。
すごろくで、考えて、答えて、話す
サイコロを振り、 止まったマスに書かれた問いについて考えるなど、 ゲームの仕組みを使って 子どもたちの発言を引き出します。
林道で見た自然を描く
林道散策で印象に残った木や草花、 自然の様子などを思い出し、 黒板に描きながら フィールドでの体験を振り返ります。
「理想の里山」を一緒につくる
森の資源がどのように使われ、 また自然へ戻っていくのか。 資源が循環する里山を、 高校生と小学生が一緒に考えていきます。






教えることで、高校生自身が学んでいく
授業を行う側になって初めて、 見えてくることがあります。
自分では分かりやすいと思っていた説明が 小学生には伝わらない。
想定していなかった質問が返ってくる。
低学年と高学年では、 興味を持つ言葉も、 理解の仕方も違う。
逆に、 高校生が想像していた以上に、 子どもたちから面白い意見が出てくることもあります。
授業を「受ける」のではなく、 自分たちで「つくり、伝える」側へ回ることによって、 高校生自身の学びも大きく変わります。
2024年度に見えた進化
前年度以上に、 小学生との対話を中心に据えた授業が 多く見られました。
これは、 高校生たちが授業計画の段階から 「何を教えるか」だけではなく、 「どうすれば子どもたちが参加してくれるか」 「どうすれば自分の言葉で話してくれるか」 を考えてきた結果でもあります。
先輩から後輩へ。経験がつながる
2024年度のもう一つの大きな特徴は、 前年度にこのプログラムへ参加した高校生が 先輩として準備段階に参加し、 後輩たちを支えてくれたことです。
子どもたちはどのように反応するのか。 時間配分はどうしたらよいのか。 実際にやってみて難しかったことは何だったのか。
前年度の経験が、 次年度の高校生へと受け継がれていく。
単年度で完結するイベントではなく、 高校生同士の 「縦のつながり」が生まれ始めたことも、 この活動の大切な成果です。
授業を終えて
約2時間の授業を終えた後、 加茂高校の上野教諭から、 高校生たちへ感想と労いの言葉が伝えられました。

この活動から生まれたもの
OUTPUT|形になった成果
- 加茂高校の高校生18名が参加
- 三和小学校の全校児童31名が参加
- 高校生6グループによる模擬授業を実施
- 1〜6年生を混ぜた6クラス編成で実施
- アイスブレイク・林道散策・教室授業の3部構成を実施
- マンガ教材を活用した対話型授業を実践
- ゲーム形式を取り入れた授業を実践
- 林道での体験を黒板表現へつなげる授業を実践
- 里山の資源循環を考える授業を実践
- 前年度参加者が後輩を支援する機会が生まれた
OUTCOME|高校生と子どもたちに生まれた変化
- 高校生が「教わる側」から「授業をつくる側」を経験した
- 年齢の異なる小学生へ伝えるための言葉や方法を考える機会となった
- その場の反応を見ながら授業を調整する経験につながった
- 高校生と小学生の対話が増えた
- 小学生自身が考え、答え、表現する時間が生まれた
- フィールドでの体験と教室での学びがつながった
- 身近な里山や自然を自分自身の言葉で考える機会になった
- 高校生同士の主体的な役割分担と協働が深まった
- 前年度参加者の経験が後輩へ継承された
IMPACT|地域に育ち始めている変化
- 高校生が地域の子どもの学びに関わる仕組みの継続
- 高校と小学校を越えた世代間交流の形成
- 里山を地域の教育資源として活用するモデルの蓄積
- 地域で開発した教材が継続的に活用される仕組みの形成
- 高校生の経験を次の高校生へ受け継ぐ「縦のつながり」の形成
- 教員志望や進路を考える高校生がリアルな教育現場へ触れる機会の創出
- 子どもと高校生がともに地域について考える機会の定着
- 地域資源・自然・教育をつなぐ探究型学習モデルの蓄積
- 地域への関心を持つ次世代人材を継続的に育てる基盤づくり
教材をつくることから、地域の学びをつくることへ
このプロジェクトは、 2021年度に高校生自身が 美濃加茂市の地域資源を調べ、 地域の人たちへ話を聞きながら、 マンガ教材をつくったところから始まりました。
その教材を、 次の高校生が使う。
授業を考える。
小学生へ伝える。
さらに、 その経験を次の高校生へ渡していく。
教材という一つの成果物から始まった活動が、 少しずつ 「地域の中で学びを循環させる仕組み」へ 育ち始めています。
高校生が「先生」になった一日
答えを教えることだけが、 授業ではありません。
一緒に歩く。 一緒に見る。 一緒に考える。 子どもの言葉を聞く。 そして、その場でまた考える。
2024年度の授業では、 高校生と小学生の間に 昨年以上に多くの対話が生まれました。
地域で生まれた教材を使い、 高校生が小学生へ伝え、 その経験をまた次の世代へつないでいく。
その小さな循環を、 これからも地域の中で育てていきます。
実施日: 2024年11月26日
実施場所: 美濃加茂市立三和小学校
参加: 岐阜県立加茂高等学校 高校生18名、 三和小学校 全校児童31名
企画・伴走: 美濃加茂市/ミライクエスト
協力: 岐阜県立加茂高等学校、 美濃加茂市立三和小学校、 日比野安平先生ほか
次世代に原体験を。地域には知の資産を。
地域で生まれた教材と、 高校生の問い、 小学生との対話。 ミライクエストは、 一つひとつの実践を次の学びへつなぎながら、 地域とともに次世代を育てる仕組みをつくっていきます。
ミライクエストに相談する