次世代・探究

「もう一度、集まって考えたい。」高校生が動かした最終ワークショップ|2023年度 マンガ教材探究型授業プログラム #5

本番まで、あと5日。 2024年3月13日、 岐阜県立加茂高等学校の高校生たちが再び集まり、 三和小学校で行う模擬授業の 最終検討ワークショップを実施しました。

実はこの日は、 当初のプログラムには予定していなかった追加の時間です。 「本番の前に、もう一度みんなで確認したい」。 そんな高校生たち自身の声を受けて実現しました。 授業を“やらされる”のではなく、 自分たちの授業として完成させようとする姿が 見え始めた時間でもありました。

里山×STEAM MINOKAMO2030|マンガ教材探究型授業プログラム #5

ワークショップ概要

実施日
2024年3月13日
テーマ
三和小学校での模擬授業に向けた最終検討・授業設計
対象
岐阜県立加茂高等学校の高校生
授業編成
5グループ
場所
美濃加茂市 多文化共生係オフィス内
協力
美濃加茂市立三和小学校
本番
2024年3月18日
本番会場
美濃加茂市立三和小学校
総合伴走
田園社会イニシアティブ株式会社/ミライクエスト
あと5日 三和小学校での本番まで
5組 学年ごとの授業グループ
高校生発 追加開催を望む主体的な声

ここまで高校生たちは、 マンガ教材を読み直し、 教員経験者から子どもとの向き合い方を学び、 多文化的な背景を持つ地域の人から話を聞き、 何度も授業計画を考えてきました。

そして迎えた本番直前。

高校生たちから、 「もう一度集まって確認したい」 という声が上がりました。

この申し出を受け、 急きょ最終検討の場を設けることになりました。

会場としてお借りしたのは、 美濃加茂市の多文化共生係の オフィスの一角です。

本番に向けて授業計画を確認する加茂高校の高校生
本番まであと5日。 グループごとに授業計画を広げ、 内容や役割分担を一つひとつ確認していきました。

「もう一度集まりたい」から始まった追加ワークショップ

今回のワークショップで 最も大切に残しておきたいことは、 授業内容そのものだけではありません。

この時間を求めたのが、 高校生たち自身だったことです。

本番で小学生の前に立つことが 現実のものとして近づくにつれ、 「このままで大丈夫だろうか」 「もっと準備したい」 「グループでもう少し話したい」 という思いが生まれてきました。

誰かから 「もう一度準備しなさい」と 指示されたのではありません。

自分たちが授業をするから、 自分たちでもっと良くしたい。

その気持ちが、 予定になかった一日を生み出しました。

「参加者」から「実践者」へ

探究学習では、 決められたプログラムへ参加するだけでなく、 学ぶ側自身が「もっとこうしたい」と考え、 必要な行動を起こし始めることが 大きな変化の一つです。 今回の追加ワークショップは、 高校生たちの中で模擬授業が 「用意された活動」から 「自分たちの実践」へ変わり始めたことを示しています。

マンガ教材を、もう一度開く

高校生たちの手元には、 これまで何度も使ってきた 美濃加茂市版のマンガ教材があります。

しかし今回は、 単に教材の内容を確認するために 開いているわけではありません。

どのページを使えば、 小学生に伝わりやすいのか。

どんな問いと組み合わせれば、 子どもたち自身が考えられるのか。

林道を歩いた体験と、 教室での学びを どうつなげるのか。

教材が「読むもの」から、 授業をつくるための道具へと 変わっていきます。

マンガ教材を開きながら授業内容を検討する加茂高校の高校生
マンガ教材を開きながら、 「どこを使うか」「どう伝えるか」をグループで再検討。 会場には三和小学校から校長先生も駆けつけてくださいました。

三和小学校の子どもたちを知る

この日は、 模擬授業の舞台となる 三和小学校から、 当時の校長先生も駆けつけてくださいました。

高校生たちが教えるのは、 名前も顔も分からない 抽象的な「小学生」ではありません。

実際に三和小学校で毎日学び、 暮らしている子どもたちです。

どのような子どもたちなのか。

どんな雰囲気の学校なのか。

どのように接すると 子どもたちが話しやすいのか。

学校のことをよく知る先生から 直接アドバイスを受けながら、 高校生たちは授業を より現実的なものへと近づけていきました。

「誰に教えるのか」を知ることも、 授業づくりの重要な一部です。

5つのグループに分かれて模擬授業の内容を検討する加茂高校の高校生
5つのグループに分かれ、 担当する子どもたちを思い浮かべながら 授業内容、進め方、役割を具体化。 本番を想定した最後のブラッシュアップです。

自分たちだけで考えず、他のグループに見てもらう

授業案がある程度まとまったところで、 高校生たちは 自分たちのグループの内容を 他のグループへ説明しました。

説明してみることで、 自分たちでは当然だと思っていたところが 相手には伝わらなかったり、 新しい疑問を投げかけられたりします。

「ここはもう少し説明したほうがいい」

「こうしたほうが子どもは楽しめるのでは」

「この時間配分で大丈夫だろうか」

一つのグループだけで完成させるのではなく、 他の高校生の視点を借りて 授業を見直していきました。

自分たちの授業案を他のグループに説明する加茂高校の高校生
自分たちが考えた授業を、 他のグループに説明。 聞き手から意見やアドバイスを受け、 授業案を客観的に見直す相互レビューの時間になりました。

授業を「時間」に落とし込む

どれだけ良いアイデアがあっても、 学校の授業には 決められた時間があります。

最終検討では、 3月18日の動きを 実際の時間割へ落とし込んでいきました。

9:40〜10:00
アイスブレイク・自己紹介

各グループで子どもたちと顔を合わせ、 話しやすい関係をつくる時間。

10:00〜10:30
林道・里山フィールド

教室を出て、 三和の自然を実際に見て、歩き、感じる時間。

10:30〜10:40
休憩

フィールド体験から 次の学びへ切り替える時間。

10:40〜11:30
座学・グループ授業

マンガ教材やフィールドでの体験を使い、 高校生自身が考えた授業を実践。

ホワイトボードには、 「アイスブレイク」 「林道」 「座学」、 そして最後に 「ゴール」 という言葉が残っています。

何を何分やるかだけではなく、 最後に子どもたちに 何を持ち帰ってほしいのか。

授業の「終わり」ではなく、 授業の「ゴール」を考える。

ここまで来ると、 高校生たちの活動は 本格的な授業設計そのものです。

3月18日の模擬授業の時間割と授業の流れを書き出したホワイトボード
本番当日の流れを可視化したホワイトボード。 「アイスブレイク → 林道 → 座学」と時間を整理し、 最後にどんな「ゴール」をつくるのかまで確認しました。

探究の成果は、「主体性」にも表れる

このプロジェクトでは、 完成した教材や授業案だけが 成果ではありません。

地域について調べる。

人の話を聞く。

子どもの立場から考える。

仲間と話し合う。

一度つくったものを 別の人に見てもらう。

そして、 足りないと思えば 自分たちからもう一度集まる。

こうしたプロセスそのものに、 探究型学習の大きな価値があります。

本番直前に見えた、もう一つの成果

3月13日のワークショップは、 当初計画にはありませんでした。 それでも実施されたのは、 高校生自身から 「もう一度準備したい」という声が生まれたからです。 完成した授業案だけでなく、 自分たちで必要なことを考え、 行動へ移したこと自体が、 このプログラムから生まれた 大切なOUTCOMEの一つだと考えています。

2023年度 マンガ教材探究型授業プログラム

  • 12月2日| マンガ教材とこれまでの実践を振り返り、 自分たちの授業を考え始める
  • 12月16日| 日比野安平先生から、 教員として子どもとどう向き合うかを学ぶ
  • 12月23日| ブラジルにルーツを持つオタビオさんの経験から、 多文化な地域で子どもと向き合うことを考える
  • 1月27日| 授業の流れを書き出し、 具体的な授業プランへ
  • 3月13日| 高校生自身の声から実現した、 本番直前の最終検討
  • 3月18日| 三和小学校で、 高校生が実際の授業へ

このワークショップから生まれたもの

OUTPUT|今回、形になったもの

  • 3月18日の模擬授業に向けた追加の最終検討ワークショップを実施
  • 5グループそれぞれの授業内容を具体化
  • マンガ教材を使う場面や方法を再確認
  • グループ内で役割分担・進行方法を確認
  • 他グループへ授業案を説明する相互レビューを実施
  • 他グループからの意見を授業案へフィードバック
  • 三和小学校の校長先生から児童への接し方などの助言を受けた
  • 本番当日の時間割を具体化
  • アイスブレイク、林道散策、座学を一つの授業として接続

OUTCOME|高校生に生まれた変化

  • 高校生自身から追加の準備機会を求める声が生まれた
  • プログラムへの参加から、自分たちの授業への当事者意識へ変化した
  • 本番を想定して時間配分まで考えるようになった
  • 担当する小学生を具体的に想像して授業を設計する視点が深まった
  • 他者へ説明することで自分たちの授業案を客観視する経験につながった
  • 仲間からの助言を受け入れ、改善する協働的な学びが生まれた
  • 「何をするか」だけでなく「何を持ち帰ってほしいか」という授業のゴールを考えるようになった

IMPACT|この先に目指す変化

  • 教員志望の高校生が実際の学校現場へつながる実践型キャリア教育の形成
  • 高校生が自ら学びを設計・改善する探究型教育モデルへの発展
  • 高校と小学校をつなぐ継続的な教育連携の形成
  • 高校生と小学生が地域を題材に学び合う世代間交流の創出
  • 地域資源を次の世代へ伝える人材の育成
  • 地域でつくられた教材を地域の若者が使い、さらに次の世代へ紡ぐ循環の形成
  • 学校・行政・地域が協力して次世代を育てる地域教育モデルへの発展

「もっと準備したい」が、探究を次へ進める

この日をつくったのは、 高校生たち自身の 「本番の前にもう一度集まりたい」 という声でした。 グループで考え、 他のグループに説明し、 学校の先生から助言を受け、 時間割まで落とし込む。 3月18日、 いよいよ高校生たちは 三和小学校の教室に立ちます。 地域を学ぶ高校生から、 地域のことを次の世代へ伝える高校生へ。 本番へ向けた準備は、 最後の段階に入りました。

事業: 里山×STEAM MINOKAMO2030 マンガ教材探究型授業プログラム
実施日: 2024年3月13日
対象: 岐阜県立加茂高等学校の高校生
場所: 美濃加茂市 多文化共生係オフィス内
協力: 美濃加茂市立三和小学校
総合伴走: 田園社会イニシアティブ株式会社/ミライクエスト
本番: 2024年3月18日 美濃加茂市立三和小学校

学ぶ側から、次の世代へ伝える側へ

ミライクエストでは、 地域での原体験や対話を、 高校生自身の問いと実践へつなげています。 地域を知り、自分で考え、 そして次の世代へ伝えていく。 その学びの循環を、 地域の中につくっていきます。

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