「授業をする」前に、 教師として子どもとどう向き合うのかを考える。 2023年12月16日、 教員を志望する岐阜県立加茂高等学校の高校生たちは、 長年にわたり学校現場で子どもたちと向き合ってきた 日比野安平先生から、 教員として大切にしてきたことについて お話を伺いました。
本取り組みは、 高校生自身が地域を題材にしたマンガ教材を使い、 小学生へ授業を行う 「マンガ教材探究型授業プログラム」の一環です。 2024年3月18日の美濃加茂市立三和小学校での授業実践に向け、 授業づくりと同時に 「教師として子どもとどう接するのか」を考えていきます。
プロジェクト概要
- プログラム
- マンガ教材探究型授業プログラム
- 実施日
- 2023年12月16日
- 対象
- 岐阜県立加茂高等学校の高校生
- テーマ
- 教師として子どもとどう向き合うか
- 講師
- 日比野安平先生
- 最終実践
- 2024年3月18日 美濃加茂市立三和小学校
- 企画・伴走
- ミライクエスト
前回の2023年12月2日、 高校生たちは、 先輩たちが開発してきた 美濃加茂市版のマンガ教材を改めて読み込み、 小学生に何を伝えたいのかを考えるところから 2023年度の授業開発をスタートしました。
しかし、 良い教材があれば 良い授業ができるわけではありません。
子どもたちの前に立ったとき、 どのように話しかけるのか。
子どもの反応をどう見るのか。
自分が伝えたいことを 一方的に話すのではなく、 子ども自身が考える時間を どうつくるのか。
今回は、 「授業のつくり方」のさらに手前にある、 教師として子どもとどう向き合うのか を考える時間となりました。
子どもとどう向き合うかを、先輩教師から学ぶ
この日の講師としてお迎えしたのが、 日比野安平先生です。
長年にわたり学校現場で 多くの子どもたちと向き合ってきた 日比野先生から、 教員として子どもを見るときに 何を大切にしてきたのか、 どのように接してきたのかを伺いました。

日比野安平先生
岐阜大学農学部大学院修了後、 岐阜県内の高等学校などで 理科教員として長年教育に携わり、 岐阜県立加茂農林高等学校、 岐阜県立岐山高等学校などで校長を務めました。
理科教育にも長く携わり、 全国理科教育功労者表彰などを受賞。 長年、学校現場で 子どもたちと向き合ってきた経験を持つ教育者です。
「何を教えるか」だけではない
授業を考え始めると、 どうしても 「何を説明するか」 「どんな資料を使うか」 「どんな順番で話すか」 といった授業の構成に目が向きます。
もちろん、それらも大切です。
しかし、 実際に授業を受けるのは 一人ひとり違う子どもたちです。
理解の速さも、 興味を持つポイントも、 表現の仕方も違います。
教師は、 目の前の子どもを見ながら、 その反応を受け取り、 必要に応じて言葉や進め方を変えていく必要があります。
授業をつくる前に、「子どもを見る」
教員志望の高校生にとって、 教材や授業計画をつくることと同じくらい大切なのが、 実際に目の前にいる子どもをどう見るかという視点です。 今回の対話は、 「教師は何を教える人なのか」だけではなく、 「教師は子どもとどう向き合う存在なのか」を 考える機会となりました。
教師という仕事を、自分自身の進路として考える
このプログラムに参加している高校生の中には、 将来、教員になることを考えている生徒もいます。
だからこそ、 今回の日比野先生との時間は、 単なる授業づくりのためのアドバイスではありません。
教師として働くとは どういうことなのか。
子どもと日々向き合うとは どういうことなのか。
自分は、 どのような教師になりたいのか。
実際に教員として長く歩んできた 先輩教師の話を直接聞くことで、 高校生自身が 将来の自分をより具体的に考える機会にもなりました。

聞くだけで終わらず、自分たちの授業へ
この日の目的は、 日比野先生の話を聞いて 「勉強になった」で終わることではありません。
3月には、 高校生自身が実際に小学生の前へ立ちます。
そのとき、 どんな言葉で話しかけるのか。
子どもの反応をどう受け止めるのか。
子どもから想定外の言葉が返ってきたとき、 どう向き合うのか。
今回得た気づきを、 これからつくる授業計画へ 落とし込んでいくことが重要になります。

高校生が「教える側」に立つことで生まれる学び
このプログラムの特徴は、 高校生が地域について 「学ぶ側」だけではないことです。
地域を調べ、 人に話を聞き、 教材を読み込み、 そして今度は 小学生へ伝える側になります。
自分が理解しているつもりでも、 誰かに伝えようとすると、 分からないことや 説明できないことが見えてきます。
さらに相手が小学生となれば、 難しい言葉を使わず、 興味を持ってもらえる方法を考え、 相手の反応を見ながら 授業を進めなければなりません。
「学ぶ」から「伝える」へ。 その立場の変化そのものが、 高校生にとって深い探究になります。
この活動から生まれたもの
OUTPUT|形になった成果
- 2023年度マンガ教材探究型授業プログラム第2回を実施
- 教員志望の高校生と経験豊かな先輩教師との直接対話の機会を創出
- 子どもとの向き合い方・接し方をテーマにした学習機会を実施
- 3月の小学校授業実践に向けた授業開発プロセスを継続
- 高校生が教師としての姿勢を考えるキャリア探究の機会を形成
OUTCOME|高校生に生まれ始めた変化
- 授業を「内容を伝えること」だけで捉えない視点が生まれた
- 目の前の子どもを見ることの重要性を考える機会となった
- 教師として子どもにどう接するかを自分事として考え始めた
- 授業計画だけでなく、教師としての姿勢にも意識が向いた
- 教員という進路を、実際の仕事や子どもとの関係から考える機会となった
- 3月の実践へ向けた心理的・実践的な準備が進んだ
IMPACT|地域・教育に育ち始めている変化
- 高校生が学校外の教育者から学ぶ世代間の学びの機会を創出
- 地域の教育経験を次世代の教員志望者へ伝える循環が生まれた
- 高校生が地域の小学生へ学びを還元する教育モデルの形成
- 地域探究とキャリア教育、教員養成的な学びを接続する可能性を提示
- 高校・小学校・地域人材をつなぐ実践型教育の基盤形成
- 地域で学んだ高校生が次の世代へ知を伝える循環型の学びへ発展
「地域を学ぶ」から、「地域で教える」へ
このマンガ教材の取り組みは、 2021年度、 高校生自身が地域へ入り、 美濃加茂市の地域資源や課題について調べ、 マンガ教材を制作するところから始まりました。
2022年度には、 先輩たちが制作した教材を使って 小学生へ実際に授業を行う段階へ進みました。
そして2023年度は、 さらに一歩進み、 実際の学校である 美濃加茂市立三和小学校での授業に挑戦します。
教材をつくる。 授業を考える。 教師から学ぶ。 そして、小学生の前に立つ。
一つひとつのプロセスを経験することで、 高校生自身の探究も深まっていきます。
岐阜県立加茂高等学校
教員を志望する高校生などが、 地域を題材としたマンガ教材を活用しながら、 小学生に伝える授業を自ら考え、 実践へ向けて準備を進めます。
ミライクエスト
高校生、地域の教育者、 小学校などをつなぎながら、 地域探究、授業開発、 対話、実践までのプロセスを設計し、 高校生の挑戦に伴走します。
マンガ教材探究型授業プログラム 2023年度
#1|2023年12月2日
マンガ教材を読み解き、
三和小学校での授業へ向けた
授業開発をスタート。
#2|2023年12月16日
日比野安平先生から、
教員として子どもとどう向き合うのかを学ぶ。
このあとも、 2024年3月18日の三和小学校での授業実践へ向けて、 高校生たちの準備は続いていきます。
授業をつくる前に、子どもを見る
教材の内容を理解し、 授業計画をつくることも大切です。 しかし、その授業の先には、 一人ひとり違う子どもたちがいます。 日比野先生との対話を通して、 高校生たちは 「教師として子どもとどう向き合うのか」という 授業づくりの根本にある問いに触れました。 この気づきを持って、 次はいよいよ、 自分たちの授業をさらに具体化していきます。
実施日: 2023年12月16日
対象: 岐阜県立加茂高等学校の高校生
講師: 日比野安平先生
最終実践: 2024年3月18日 美濃加茂市立三和小学校
企画・伴走: ミライクエスト
地域で学び、次の世代へ伝える
ミライクエストは、 高校生が地域のリアルに触れ、 自ら問いを持ち、 その学びを次の世代へ伝えていく 実践型の探究をこれからも育てていきます。