プロジェクト概要
- 事業名
- 鳥羽なかまちフィールドワーク2025
- 実施期間
- 2025年5月3日~5月5日
- 実施地域
- 三重県鳥羽市・鳥羽なかまちエリア
- 参加者
- 東大生地方創生コンソーシアム所属学生 5名
- 実施主体
- 東大生地方創生コンソーシアム
- 共創パートナー
- ミライクエスト
- 主な活動
- 古本販売、地域関係者へのヒアリング、地域住民・学生との交流、 鳥羽駅周辺の散策、鳥羽水族館の訪問
2025年5月3日から5日まで、 東大生地方創生コンソーシアムの学生5名が、 三重県鳥羽市の鳥羽なかまちエリアでフィールドワークを実施しました。
今回の活動は、コンソーシアムの新入生歓迎フィールドワークの一環として、 鳥羽を継続的に訪れてきた学生が中心となって企画したものです。
観光地を見学するだけではなく、地域のイベントに参加し、 自分たちで商品を販売し、地域で暮らす人や活動する人から直接話を聞く。
学生たちは、鳥羽の魅力を楽しみながら、 地域経済、人口減少、防災、駅前再開発、産業の継承など、 地域が抱えるさまざまなテーマについて考えました。
地域の中で、自分たちの活動をつくる
今回のフィールドワークでは、あらかじめ用意された体験に参加するだけでなく、 学生自身が地域の中で活動をつくることを大切にしました。
その中心となったのが、鳥羽駅近くのドルフィン広場で開催された 「kiccaマルシェ」への古本販売ブースの出店です。
販売に使った本棚は、鳥羽なかまちエリアにある空き家の廃材を活用し、 学生が事前に製作しました。
販売した本も、地域に住む本好きの方から寄付され、 空き家に保管されていた古本です。

地域を手伝うだけでなく、地域で「稼ぐ」
マルシェでは、キッチンカーなどが並ぶ中、 本を扱う珍しいブースとして、学生が接客と販売を担当しました。
企画の背景には、地域を訪れた学生が、 単にイベントを手伝うだけでなく、 自分たちで価値を生み出し、地域の中で収益を得る経験をしてほしいという、 地域側からの提案がありました。
2日間の売上は、参加学生の朝食代に充てられました。
地域資源を、小さな経済活動へ
空き家に残されていた廃材や古本を活用し、 学生が自ら販売方法を考え、接客し、収益を生み出す。 今回の取り組みは、地域にあるものを新たな価値へ変える、 小さな実践となりました。
防災と駅前再開発について、現場から学ぶ
鳥羽マリンターミナルでは、 災害時の避難方法や避難経路、避難訓練の状況について、 管理事務室の方から話を伺いました。
鳥羽駅周辺では、地域の再開発に向けた建築コンペも行われていました。
そのため、南海トラフ地震などの災害を想定した防災計画に加え、 地元住民の立場から、駅周辺の再開発に何を期待しているのかについても、 意見を聞きました。
建築や再開発を専門的に考えていた学生だけでなく、 他の参加者からも防災まちづくりに関する質問が出るなど、 それぞれの関心から積極的な対話が行われました。

鳥羽マルシェの運営と地域での役割
鳥羽マルシェでは、店長の前田さんから、 マルシェが設立された経緯、運営方法、商品の流通の仕組みについて話を伺いました。
あわせて、鳥羽駅周辺の再開発に期待していることや、 今後の地域に必要だと考えているものについても意見を聞きました。
同じ駅周辺の将来を考える場合でも、 観光客、離島の住民、地域で暮らす人、商業施設の運営者など、 立場によって重視することは異なります。
学生たちは、一つの地域課題に対して、 さまざまな見方や利害が存在することを学びました。
地域で活動する学生との交流
kiccaマルシェでは、運営を手伝っていた三重大学の MSFC(三重創生ファンタジスタクラブ)の学生とも交流しました。
お互いの活動を紹介するだけでなく、 「地方創生とはどのようなことなのか」 「学生はどのような活動を通して地域に還元できるのか」といった問いについて、 それぞれの経験や考えを共有しました。
地域は異なっても、同じように地方創生に関心を持つ学生同士が出会うことで、 自分たちの活動を振り返り、新たな視点を得る機会となりました。

地域住民と食卓を囲み、鳥羽の未来を聞く
2日目の夜には、kiccaの拠点である元東川材木店倉庫で、 地域住民と学生による交流夕食会を開催しました。
会場には、子どもから高齢者まで、 およそ30人が集まりました。
学生たちは、地域の方々に、 鳥羽がこれからどのようなまちになってほしいかを尋ねました。
また、地域の産業、漁業の状況、 子どもが地域の外へ出ていくことについて、 地元の方がどのように考えているのかも伺いました。


対話から見えてきた、鳥羽の産業と人口減少
地域の方との対話を通して、 学生たちは、鳥羽の人口減少や若者の流出の背景に、 地域で十分な仕事や収入を得ることの難しさがあると感じました。
地元の方々は、子どもたちが地域の外へ出ていくことを 単純に引き止めているわけではありません。
鳥羽で働き、暮らし続けるための産業や仕事が十分ではないことを理解しているからこそ、 子どもの選択を受け入れているという話もありました。
学生にとって、地方創生を考えるうえで、 地域の魅力を発信するだけでなく、 地域の中で仕事と経済をどのようにつくるかが重要であることを、 現場から学ぶ機会となりました。
地域に住むさまざまな立場の方から話を伺い、 人口減少という社会問題が、地域でどのように受け止められているのかを 知ることができました。
地元の方々が、鳥羽の産業不足を深刻な問題として捉えていることを知りました。 地方の課題として経済の重要性を改めて感じ、 東京の学生という立場から何ができるのかを考えてみたいと思いました。
どのようなまちにしたいかという段階から、 さまざまな立場や考え方があります。 自分の興味や専門の視点を持ちながら、 地域の課題に根ざした丁寧な活動を行うことが重要だと感じました。
地域活動を継続させる仕組みを学ぶ
kiccaの運営者からは、 地域活動を事業として継続するための仕組みについても話を伺いました。
企業版ふるさと納税を活用した企業との連携や、 マルシェ出店者から売上の一部を受け取り、 場所の確保や消防などの手続きを運営側が担う仕組みが紹介されました。
学生たちは、地域活動を続けるためには、 善意や無償の活動だけに頼るのではなく、 調整、手続き、運営といった仕事にも、 適切な対価が生まれる仕組みが必要であることを学びました。
「地域のため」と「事業として続く」を両立する
誰か一人が負担を引き受けるのではなく、 企業、行政、出店者、地域団体がそれぞれの役割を担い、 お互いに価値を得られる関係をつくること。 地域に継続的なにぎわいを生み出すには、 支援と事業性の両方が重要であることが見えてきました。
鳥羽の魅力を楽しみ、地域を好きになる
最終日には、鳥羽を代表する観光地である鳥羽水族館を訪問しました。
地域の課題を学ぶだけでなく、 その地域を楽しみ、魅力を体感し、 鳥羽をより深く知ることも、 今回のフィールドワークの大切な目的です。
地域に関わり続けるためには、 課題意識だけではなく、 その地域を好きになる経験も重要です。

この活動から生まれたもの
OUTPUT|学生たちが形にした成果
- 空き家の廃材を活用した古本販売用本棚の製作
- 地域から寄付された古本を活用したマルシェ出店
- 2日間にわたる接客、販売、小規模な収益活動の実践
- 鳥羽マリンターミナルでの防災・避難計画に関するヒアリング
- 鳥羽駅周辺の再開発に対する地域関係者への聞き取り
- 鳥羽マルシェの設立経緯、運営、流通形態に関するヒアリング
- 三重大学MSFCの学生との地方創生に関する意見交換
- 地域住民約30人との交流夕食会の実施
- 鳥羽駅周辺の散策と地域資源の体験
- 参加学生による振り返りと活動報告の作成
OUTCOME|学生と地域に生まれた変化
- 学生が観光だけでは見えない鳥羽の暮らしや産業を理解した
- 人口減少と地域経済の関係について、現場の声から考える機会が生まれた
- 地域課題には、立場によって異なる見方や優先事項があることを学んだ
- 学生が地域の中で自ら価値を生み、収益を得る経験を積んだ
- 東京大学と三重大学の学生間に、新たな交流と学びの関係が生まれた
- 地域住民と学生が、鳥羽の現在と未来について対話する機会が生まれた
- 学生が自分の関心や専門性を、地域活動へ生かす視点を得た
- 学生の中に、鳥羽へ再び関わりたいという意識が育まれた
IMPACT|これから地域に育てていく可能性
- 学生が継続的に鳥羽を訪れ、調査や実践に関わる関係の形成
- 空き家、廃材、古本など、地域に眠る資源を活用した小さな事業の創出
- 学生と地域事業者が協力した、新しいマルシェ企画や商品開発
- 東京大学と三重大学の学生による地域横断型の共同プロジェクト
- 防災、観光、交通、住民生活を横断して考える駅前再開発への若者の参画
- 地域住民の声を継続的に集め、地域づくりに生かす対話の仕組みづくり
- 企業版ふるさと納税などを活用した、地域活動を支える企業連携の拡大
- 地域活動を善意だけに依存させず、持続可能な事業として運営するモデルの形成
- 鳥羽を学びと実践のフィールドとする、継続的な学生受け入れの仕組みづくり
地域に入り、対話し、自分の問いを深める
今回のフィールドワークでは、 学生が用意されたプログラムに参加するのではなく、 自ら企画し、地域のイベントに出店し、 地域の方々に問いを投げかけました。
古本販売という小さな経済活動、 防災や再開発に関するヒアリング、 地域住民や他大学の学生との対話。
それぞれの体験がつながることで、 観光だけでは見えない鳥羽の暮らし、産業、課題、 そして地域を支える人々の存在が見えてきました。
地域の外から訪れる学生だからこそ、 地域の中では当たり前になっていることに気づき、 新しい問いを投げかけることができます。
一方で、一度訪れただけで、 地域のことをすべて理解できるわけではありません。
現場で出会った人との関係を大切にし、 自分の関心や専門性を手がかりにしながら、 丁寧に地域へ関わり続けることが重要です。
東大生の挑戦に寄り添う、ミライクエストの伴走支援
本活動の企画、運営、出店、ヒアリングを主体的に担ったのは、 東大生地方創生コンソーシアムの学生たちです。
学生自身が地域に入り、 地域の人と関係を築き、自分たちで活動をつくり、 その経験から問いを深めました。
ミライクエストは、東大生地方創生コンソーシアムの共創パートナーとして、 学生たちの主体性を尊重しながら、 地域での学びと実践が次の活動へつながるよう伴走しています。
大切にしているのは、 ミライクエストが学生に答えを与えることではありません。
学生が自分自身の関心から問いを立て、 地域の方々との対話を通して考えを深め、 自分たちの言葉で次の行動をつくれる環境を整えることです。
一度のフィールドワークを一過性の体験で終わらせず、 次の調査、研究、実践、 地域との継続的な関係へつなげていくこと。
それが、ミライクエストの伴走支援の役割です。
地域と一緒に、人と事業を創る研究所
ミライクエストは、次世代、企業、行政、大学、地域をつなぎ、 現場で生まれた問いや学びを、 次の調査、実践、研究、事業へつなげていきます。
共創パートナー: ミライクエスト
実施期間: 2025年5月3日~5月5日
実施地域: 三重県鳥羽市・鳥羽なかまちエリア
参加者: 東大生地方創生コンソーシアム所属学生5名