次世代・探究

授業を、具体的なかたちへ。|2023年度 マンガ教材探究型授業プログラム #4

「小学生に、何を伝えたいのか」。 そして、そのためには どんな順番で、どんな問いを投げかけ、 どんな体験を組み合わせればよいのか。 2024年1月27日、 岐阜県立加茂高等学校の高校生たちは、 3月に予定している三和小学校での模擬授業へ向けて、 授業の具体的な設計に入りました。

2021年度の「マンガ教材をつくる」活動から始まり、 2022年度には「高校生が小学生へ教える」実践へ。 そして2023年度は、 実際の小学校の授業時間の中で実施することを目指します。 今回は、その実現へ向けた第4回ワークショップです。

里山×STEAM MINOKAMO2030|マンガ教材探究型授業プログラム #4

ワークショップ概要

実施日
2024年1月27日
プログラム
マンガ教材探究型授業プログラム
今回のテーマ
3月18日の模擬授業に向けた具体的な授業プランニング
対象
岐阜県立加茂高等学校の高校生
指導
前美濃加茂市教育長 日比野安平先生、 田園社会イニシアティブ株式会社/ミライクエスト
最終実践予定
2024年3月18日
実践場所
美濃加茂市立三和小学校
第4回 2023年度ワークショップ
3/18 三和小学校での模擬授業へ
5グループ 学年別の授業計画へ展開

これまでのワークショップでは、 高校生自身がマンガ教材を改めて読み返し、 前年度までの実践を振り返るところから スタートしました。

12月16日には、 前美濃加茂市教育長の日比野安平先生から、 教員として子どもとどう向き合うのか、 どのように接するのかという視点から 話を聞きました。

続く12月23日には、 NPOブリッジの紹介により、 ブラジルにルーツを持ち、 美濃加茂市で幼少期から育ったオタビオさんから 自身の経験を聞きました。

多文化な背景を持つ子どもたちも学ぶ地域で、 「誰に、何を、どう伝えるのか」を考える。

そうしたインプットを重ねたうえで、 今回はいよいよ 高校生自身が具体的な授業の形を書き出していく段階 に入りました。

日比野安平先生の話を聞く加茂高校の高校生
前美濃加茂市教育長の日比野安平先生を囲み、 授業づくりについて考える高校生たち。 今回は「小学生にどう伝えるか」を、 より具体的な授業の形へ落とし込んでいきました。

「教える」前に、子どもの立場から考える

教材には、 美濃加茂市の里山や自然、 地域資源、 SDGsにつながるテーマが 数多く盛り込まれています。

しかし、 教材に書かれていることを そのまま説明すれば 授業になるわけではありません。

小学生は何に興味を持つのか。

どんな問いなら、 自分のこととして考えてくれるのか。

どのくらい説明すればよいのか。

話を聞くだけではなく、 子どもたち自身が考えたり、 誰かと話したりする時間を どこにつくるのか。

今回のワークショップでは、 こうした視点を持ちながら、 授業の流れを具体化していきました。

グループに分かれて授業計画について日比野安平先生と話し合う高校生
少人数で日比野先生を囲みながら、 授業の内容や子どもへの伝え方を検討。 高校生自身のアイデアをもとに、 「授業としてどう組み立てるか」を考えていきました。

頭の中のアイデアを、書き出してみる

授業づくりを進めるために、 この日は考えていることを 大きなシートへ書き出していきました。

何から始めるのか。

途中でどのように マンガ教材を使うのか。

里山のどんな魅力を 子どもたちに知ってほしいのか。

そして最後に、 子どもたちに どんなことを感じてほしいのか。

頭の中だけで考えていた授業を 紙の上へ書き出すことで、 「ここはつながっていない」 「この順番のほうが分かりやすい」 「もっと子どもが参加できる時間を入れたい」 といった点も見え始めます。

授業の流れを大きなシートに書き出しながら日比野安平先生と話し合う高校生
授業の流れを大きなシートに書き出しながら検討。 日比野先生との対話を通して、 アイデアを「実際にできる授業」へ近づけていきます。

「里山を知る」だけで終わらせない

この日のシートには、 高校生たちが考え始めた授業の方向性が 残されています。

高校生たちの授業設計から見えてきた視点

  • 最初にグループになり、子どもたちから教えてもらう
  • マンガ教材を使って里山の良さを伝える
  • 実際に地域や里山に触れる時間をつくる
  • 散策を通して、いくつかの視点に気づいてもらう
  • 一緒に里山について考える
  • グループになって考える
  • 好奇心を引き出す
  • 自然のすごさを伝える

写真に残されたシートを見ると、 一方的に「里山について教える」のではなく、 子どもたちと一緒に考えたり、 実際の地域に触れたりすることを 大切にしようとしていたことが分かります。

これは、 ミライクエストが大切にしている 「体験から問いが生まれる学び」 にもつながっています。

高校生が考えた小学生向け授業の流れを書き出したシート
高校生が書き出した授業のアイデア。 「グループになって考える」 「好奇心を引き出す」 「自然のすごさを伝える」など、 小学生自身が参加しながら学ぶ授業の方向性が 少しずつ形になっていきました。

教材開発から、「授業をデザインする探究」へ

このプロジェクトの特徴は、 最初から高校生に 完成した授業プログラムを 渡しているわけではないことです。

2021年度には、 高校生自身が地域へ入り、 地域資源について調べ、 人に話を聞きながら 美濃加茂市版のマンガ教材制作に関わりました。

2022年度には、 先輩たちがつくった教材を使い、 小学生へ実際に授業を行いました。

そして2023年度は、 三和小学校という 実際の教育現場で授業を行います。

「地域について学ぶ高校生」から、 「地域について子どもたちへ伝える高校生」へ。

さらに、 ただ伝えるだけではなく、 どうすれば子ども自身が考え、 楽しみながら地域に関心を持てるのか を考える段階へ進んでいます。

01 地域を知る

美濃加茂市の里山や地域資源を調査し、 地域の人から話を聞く。

02 教材をつくる

集めた地域の情報をもとに、 デザイナーやライターなどの専門家とともに マンガ教材へ落とし込む。

03 誰に伝えるかを考える

教員経験者や地域で暮らしてきた人の話を聞き、 授業を受ける子どもたちの立場や背景を考える。

04 授業を設計する

教材、問い、対話、体験を組み合わせながら、 自分たちなりの授業プランをつくる。

05 実際の学校で試す

三和小学校の児童を対象として、 高校生自身が授業を実践する。

3月18日、「本物の教室」へ

最終的な実践の場は、 美濃加茂市立三和小学校です。

前年度は、 一般公募で参加した小学生を対象に ぎふ清流里山公園で授業を実施しました。

2023年度はそこから一歩進み、 実際の小学校の授業時間の中で 模擬授業を行います。

対象となるのは、 1年生から5年生までの児童27名。

高校生は5つのグループに分かれ、 それぞれが担当する学年の子どもたちへ向けて 授業をつくっていきます。

教室の中だけでなく、 三和の里山を実際に歩く時間も プログラムへ組み込む予定です。

今回書き出したアイデアが、 ここからさらに磨かれ、 本物の教室でどのような授業になるのか。

プロジェクトはいよいよ、 実践へ向けた最終段階へ進んでいきます。

2023年度 マンガ教材探究型授業プログラム

  • 12月2日| 教材とこれまでの実践を振り返り、 自分たちの授業を考え始める
  • 12月16日| 日比野安平先生から、 教員として子どもとどう向き合うかを学ぶ
  • 12月23日| ブラジルにルーツを持つオタビオさんの経験から、 多文化な地域で子どもと向き合うことを考える
  • 1月27日| 授業の流れを書き出し、 具体的な授業プランへ
  • 2月| 実施へ向けた最終調整
  • 3月18日| 三和小学校で模擬授業を実践

このワークショップから生まれたもの

OUTPUT|今回、形になったもの

  • 3月18日の模擬授業へ向けた具体的な授業プランニングを実施
  • マンガ教材を授業の中でどう活用するかを再検討
  • 小学生に何を伝えたいのかをグループで言語化
  • 授業の流れを大きなシートへ可視化
  • 説明だけでなく、対話や体験を組み込む授業案を検討
  • 里山散策と教室での学びをつなぐ方向性を具体化
  • 日比野先生との対話を通じて授業案をブラッシュアップ

OUTCOME|高校生に生まれ始めた変化

  • 「自分が知っていること」と「子どもへ伝わること」の違いを考えるようになった
  • 小学生の立場から授業を組み立てる視点が生まれた
  • 一方的に説明するのではなく、問いや対話を使う意識が生まれた
  • 授業を時間の流れとして設計する経験につながった
  • 複数人で意見を出し合い、一つの授業をつくる経験となった
  • 実際の小学校で教えることを想定し、教員という仕事をより具体的に考える機会となった

IMPACT|この先に目指す変化

  • 教員志望の高校生が実際の教育現場へ接続するキャリア教育モデルの形成
  • 高校生自身が地域を学び、その知識を次の世代へ伝える循環の創出
  • 高校と小学校をつなぐ世代間の学び合いの仕組みづくり
  • 小学生が年齢の近い高校生を通して里山や地域資源に関心を持つ機会の創出
  • 学校教育と地域フィールドをつなぐ探究型教育モデルへの発展
  • 地域の教材を地域の次世代が使い、さらに次の世代へ伝える継承モデルへの発展

「授業を受ける側」から、「授業をつくる側」へ

高校生にとって、 普段は授業を「受ける」ことがほとんどです。 しかし今回は、 小学生の立場を想像しながら、 何を伝え、どんな問いを投げかけ、 どんな体験をつくるのかを考えました。 教材を読むだけでは見えてこない、 「教える」という仕事の難しさと面白さ。 3月18日の三和小学校での実践へ向けて、 高校生たちのアイデアが、 少しずつ本物の授業へ変わり始めています。

事業: 里山×STEAM MINOKAMO2030 マンガ教材探究型授業プログラム
実施日: 2024年1月27日
対象: 岐阜県立加茂高等学校の高校生
指導: 前美濃加茂市教育長 日比野安平先生、 田園社会イニシアティブ株式会社/ミライクエスト
最終実践予定: 2024年3月18日
実践場所: 美濃加茂市立三和小学校

地域を学び、次の世代へ伝える

ミライクエストでは、 高校生が地域を調べ、 人から学び、 自分たちで考えたことを 次の世代へ伝える実践を続けています。 学ぶだけで終わらない探究を、 地域の中で形にしていきます。

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