プロジェクト概要
- 事業名
- 神奈川・三浦フィールドワーク2025
- 実施期間
- 2025年7月18日~7月19日
- 実施地域
- 神奈川県三浦市
- 参加者
- 東大生地方創生コンソーシアム所属学生 7名
- 実施主体
- 東大生地方創生コンソーシアム
- 共創パートナー
- ミライクエスト
- 主な訪問先
- 三浦市役所、高梨農場、城ヶ島、 株式会社西松、三崎港、うらりマルシェ
- 主なテーマ
- マグロ産業、超低温冷凍技術、農業と直売、 観光政策、海業、地域資源を生かした事業づくり
2025年7月18日から19日まで、 東大生地方創生コンソーシアムの学生7名が、 神奈川県三浦市でフィールドワークを実施しました。
今回の活動は、 三浦の景観や産業に関心を持った学生が中心となって企画しました。
三浦市は、三崎港のマグロをはじめとする水産業、 温暖な気候を生かした農業、 城ヶ島や三浦海岸などの自然・観光資源を持つ地域です。
学生たちは、市役所、農場、冷凍マグロ事業者を訪れ、 行政、農業者、水産事業者という異なる立場から、 三浦の産業と地域づくりについて話を伺いました。
また、地域に滞在し、 地元の野菜やマグロを味わい、 城ヶ島や三浦海岸を歩くことで、 産業だけでは捉えられない地域の魅力も体験しました。
観光と水産業をつなぐ、三浦市の地域政策
最初に訪れた三浦市役所では、 市長室の担当者や海業水産課長から、 三浦市の観光政策とマグロ産業について話を伺いました。
三浦市では、漁港や魚市場を、 水産物を水揚げするだけの場所として捉えるのではなく、 食、観光、交流、体験などを組み合わせる 「海業」の考え方が進められています。
港を訪れた人が、 魚を食べ、買い物をし、 地域の自然や文化を楽しむ。
水産業を中心に地域内で多様な消費や交流を生み出すことで、 漁業者だけでなく、飲食店、小売店、観光事業者などにも 経済効果を広げることができます。

一つの産業を、地域全体の価値へ広げる
マグロを水産物として販売するだけでなく、 飲食、観光、体験、買い物、地域の物語と組み合わせる。 一つの地域資源から複数の価値を生み出すことが、 地域経済を広げる重要な考え方です。
農業と直売から見る、三浦の野菜の価値
市役所でのヒアリング後、 学生たちは高梨農場を訪れました。
高梨農場では、 農場の経営や栽培方法について話を伺い、 畑と直売所を見学しました。
三浦半島は、 温暖な気候と海に囲まれた環境を生かし、 キャベツ、ダイコン、トマトなど、 多様な野菜が栽培されています。
高梨農場では、 ただ野菜を生産するだけでなく、 消費者がどのように食べるかという 「出口」まで考えた販売が行われていました。
直売所では、 野菜の特徴やおすすめの食べ方、 レシピなどを伝える工夫がされています。

直売は、農家と消費者を直接つなぐ
直売所では、 農家が価格や売り方を自ら考え、 消費者の反応を直接知ることができます。
野菜を市場へ出荷する場合とは異なり、 消費者との距離が近いことが特徴です。
どの野菜が求められているのか、 どのような説明が購買につながるのか、 どの品種がどの料理に適しているのか。
こうした情報を販売や栽培へ反映することで、 農産物の価値を高めることができます。

生産だけでなく、食べられ方まで考える農業
消費者においしく食べてもらうために、 品種、栽培方法、収穫時期、説明、レシピまでを考える。 農業は生産で終わるものではなく、 食卓へ届くまでを設計する事業でもあります。
城ヶ島の景観と、変わり続ける観光
1日目の夕方には、 三浦半島の南端に位置する城ヶ島を訪れました。
学生たちは、 海岸の地層や島の景観を見学し、 海に沈む夕日を眺めました。
また、城ヶ島では、 宿泊施設「ふふ城ヶ島」の建設も進められていました。
美しい自然景観を守りながら、 観光客を呼び込み、 地域での滞在時間や消費を増やす。
新しい観光施設の整備は、 地域経済への効果が期待される一方で、 景観、環境、住民生活との調和も必要になります。

地域の食材を使い、自分たちで食卓をつくる
宿泊先では、 高梨農場からいただいた野菜を中心に、 学生たちが夕食をつくりました。
城ヶ島で捕まえたカニなども使い、 地域の食材を囲みながら、 その日の活動を振り返りました。
フィールドワークでは、 訪問先で話を聞くだけでなく、 地域で採れたものを実際に調理し、食べることも重要な体験です。
食材の背景を知ったうえで味わうことで、 農業や水産業を、 より身近なものとして捉えることができます。
マイナス60度が支える、三浦のマグロ産業
2日目には、 冷凍マグロを扱う株式会社西松を訪れました。
学生たちは、代表取締役から、 マグロ産業の現状や経営について話を伺い、 マイナス60度の冷凍倉庫と冷凍設備を見学しました。
マグロは、 漁獲された後の温度管理によって、 品質や商品価値が大きく変わります。
マイナス60度という超低温で保存することで、 鮮度や色、食感を長期間維持し、 必要な時期に市場へ供給することができます。

高く買い、高く売れる市場をつくる
ヒアリングで特に印象的だったのが、 「高く買って、高く売るためのマーケットをつくることが使命」 という考え方です。
価格を下げて競争するだけでは、 漁師や加工事業者の収入を十分に確保できません。
品質の良いマグロを適正な価格で買い、 その価値を理解する消費者や販売先へ届ける。
そのためには、 漁獲、冷凍、加工、流通、小売、消費までを 一つの流れとして考える必要があります。
学生たちは、 店頭でどのように販売されているかという出口から逆算し、 漁法や品質管理まで考える視野の広さに触れました。
技術は、保存するだけでなく価値を広げる
超低温冷凍は、マグロの鮮度を守るための技術です。 しかし、その技術を他の商品や産業へ応用することで、 商品価値の向上、販売時期の調整、廃棄の削減、 新しい市場の開拓にもつながる可能性があります。
冷凍技術から広がる、新しい事業の可能性
株式会社西松では、 マグロ以外の商品を超低温で保存する可能性も検討されています。
氷や日本酒など、 温度管理によって新しい価値が生まれる商品もあります。
既存の冷凍設備を、 マグロ専用の設備として固定的に捉えるのではなく、 他の食品や事業へ応用する。
家業を受け継ぐだけでなく、 既にある設備、技術、顧客との関係を使って、 新しい市場をつくる経営の姿勢を学びました。
地域産業の継続には、 伝統を守ることと同時に、 市場や社会の変化に合わせて 新しい使い方を考えることも必要です。
三崎港で、マグロを味わう
冷凍マグロ倉庫を見学した後、 学生たちは三崎港周辺を訪れました。
昼食では、 マグロを使った「とろとろ丼」を味わいました。
生産や冷凍の現場を見た後に、 実際の商品を食べることで、 マグロ産業の流れを一続きのものとして理解できます。
その後は、うらりマルシェで、 水産物や地域商品を見学し、 お土産を購入しました。


学生が現場から感じたこと
三浦のマグロや野菜のおいしさに触れ、 地域の産業を、味覚を含めて理解することができました。
既存の冷凍設備を多様なアイデアで活用し、 資源や事業を循環させようとする経営者の姿勢が印象に残りました。
消費者が目にする売り場から逆算し、 漁法や品質管理までつなげて考える視野の広さに感銘を受けました。
農業だけでなく、地域活動やアートにも取り組む農家の方の姿を知り、 農業者に対するこれまでの印象が変わりました。
地域について学ぶだけでなく、 自分が何に関心を持っているのかを考える機会にもなりました。
この活動から生まれたもの
OUTPUT|学生たちが形にした成果
- 三浦市役所での観光政策・海業・マグロ産業に関するヒアリング
- 行政職員との地域産業・観光施策に関する意見交換
- 高梨農場の畑と直売所の見学
- 農業経営、栽培方法、直売に関するヒアリング
- 城ヶ島の自然景観、地層、観光施設の見学
- 地域の野菜や食材を使った夕食づくり
- 株式会社西松の代表取締役への経営・市場戦略に関するヒアリング
- マイナス60度の冷凍マグロ倉庫と冷凍設備の見学
- 超低温冷凍技術の活用可能性に関する学習
- 三崎港、飲食店、うらりマルシェの訪問
- マグロ料理や地域産品の体験・購入
- 学生によるフィールドワーク報告書の作成
OUTCOME|学生と地域に生まれた変化
- 学生が三浦の水産業、農業、観光のつながりを理解した
- 海業によって漁港の価値を地域全体へ広げる視点を得た
- 農業を生産だけでなく、販売や食べ方まで含めて考える視点を得た
- 直売所が農家と消費者を直接つなぐ役割を持つことを学んだ
- 超低温冷凍がマグロの品質と流通を支えていることを理解した
- 市場の出口から生産・漁獲までを逆算する事業設計を学んだ
- 既存設備を新しい市場へ転用する経営の可能性に気づいた
- 地域の食を味わうことで、産業への理解と愛着が深まった
- 学生自身の興味関心や将来のテーマを考える機会が生まれた
- 今後の三浦での活動につながる地域理解と関係の土台ができた
IMPACT|これから地域に育てていく可能性
- マグロ産業、農業、観光を横断した体験型プログラムの形成
- 三崎港の水産業と飲食・小売・観光をつなぐ海業の拡大
- 学生と地域事業者による地域産品の商品開発や情報発信
- 超低温冷凍技術を活用した新しい食品・飲料市場の開拓
- 冷凍技術による食品ロスの削減と販売時期の最適化
- 漁業者へ適正な収益を還元できる高付加価値市場の形成
- 農産物の特徴や食べ方を伝える直売・ブランド戦略の発展
- 三浦野菜とマグロを組み合わせた食体験・ツアーの開発
- 城ヶ島の自然景観と地域産業をつなぐ滞在型観光の形成
- 大学生が継続的に三浦の産業や市場を調査する関係づくり
- 学生の専門性と地域事業者の課題をつなぐ共同研究・実証
- 三浦を、食と産業の未来を学び、試すフィールドへ発展させる可能性
海・農業・観光をつなぐ地域産業を学ぶ
今回のフィールドワークでは、 マグロ、野菜、海岸景観という 三浦を代表する地域資源に触れました。
しかし、地域資源が存在するだけでは、 持続的な産業や地域経済にはつながりません。
マグロの品質を守る冷凍技術、 商品を適正な価格で届ける市場、 野菜の特徴や食べ方を伝える直売、 地域での滞在や消費を生み出す観光。
それぞれの仕組みがつながることで、 地域資源はより大きな価値になります。
また、地域の産業を理解するためには、 政策や経営について話を聞くだけでなく、 畑を歩き、冷凍倉庫へ入り、 地域の食を味わうことも重要です。
現場で得た体験から問いを深め、 自分自身の関心や専門性と地域の可能性を結びつける。
今回の活動は、 学生たちが三浦の地域産業を学ぶとともに、 次に自分たちがどのように関われるかを考える機会となりました。

東大生の挑戦に寄り添う、ミライクエストの伴走支援
本活動の企画、訪問、ヒアリング、体験を主体的に担ったのは、 東大生地方創生コンソーシアムの学生たちです。
学生自身が三浦に関心を持ち、 行政、農業者、水産事業者を訪ね、 地域産業の現場と自分自身の興味関心を結びつけました。
ミライクエストは、 東大生地方創生コンソーシアムの共創パートナーとして、 学生たちの主体性を尊重しながら、 現場で得た学びが次の調査や実践へつながるよう伴走しています。
大切にしているのは、 ミライクエストが学生に答えを与えることではありません。
学生が自分自身の関心から問いを持ち、 地域の方との対話や体験を通して考えを深め、 自分たちの言葉で次の行動をつくれる環境を整えることです。
一度のフィールドワークを一過性の経験で終わらせず、 次の訪問、研究、実践、 地域との継続的な関係へつなげていくこと。
それが、ミライクエストの伴走支援の役割です。
地域と一緒に、人と事業を創る研究所
ミライクエストは、次世代、企業、行政、大学、地域をつなぎ、 現場で生まれた問いや学びを、 次の調査、実践、研究、事業へつなげていきます。
共創パートナー: ミライクエスト
実施期間: 2025年7月18日~7月19日
実施地域: 神奈川県三浦市
参加者: 東大生地方創生コンソーシアム所属学生7名
主な訪問先: 三浦市役所、高梨農場、城ヶ島、株式会社西松、三崎港