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ドローン×ホバークラフトで未来の農業を切り拓け!―水田除草アタッチメント開発ラボ、始動!

水田の除草作業は、農家の年間労働の中でも特に過酷で手間のかかる作業のひとつです。
この課題に挑むべく、ミライクエストでは専門業者との連携のもと、ドローンとホバークラフトを活用した除草技術の実証実験を実施しました。

ステンレス製の鋤状アタッチメントを取り付け、遠隔操作で水田の泥をかき混ぜながら雑草(ヒエなど)を除去するこの挑戦は、「次世代農業」のヒントとして大きな可能性を秘めています。

【実施の概要】

内容:ドローン・ホバークラフトを用いた田んぼのAI除草マシンの研究と実験
場所:春見ライス様の水田
実施日:
①6/4 ドローンによる実験
参加者:中日本アグリサービス株式会社 社長 吉田氏、副社長 清田氏(以上、指導)
春見ライス 春見氏、田園社会イニシアティブ 楢木氏
美濃加茂市 農林課 坪井氏、三輪氏、今井氏、富岡氏、藤吉氏  計:9名

②7/21 ホバークラフトによる実験
参加者:RCホバークラフトサービス ヨシミ商会 吉田氏
ダイキン工業株式会社 丸川氏
春見ライス 春見氏、田園社会イニシアティブ 楢木氏
豊田中央研究所 牧野氏、龍田氏、稲垣氏
美濃加茂市 農林課 坪井氏、三輪氏、今井氏、富岡氏、藤吉氏  計:12名

【検証結果】
ドローンについてはプロペラによる下向きの風による除草も期待したが効果は見られませんでした。アタッチメントの装着に関してはドローンがその重量と水田から受ける抗力に耐えることができるパワーが必要です。今回の実験においては今後どのレベルのアタッチメント装着が可能か、またその取り付け方などを参加者間で協議できました。

ホバークラフトについては実際にアタッチメントを装着し、水田を走らせるテスト走行を行いました。操作は簡単であり、水面を浮いて走行するため稲へのダメージもほぼ影響ないのではとの見解を得られることが出来ました。

【考察】
SDGsで提唱される持続可能な環境・社会・経済に向けた開発において、人々の食と共に地域を支える農業の重労働からの解放は現役世代の農家の負担軽減と農業従事へのモチベーション維持だけでなく、やる気のある担い手の確保や育成においても重要です。本実証実験はこれらの課題を解決するために里山✕STEAM事業として実施され、農業の課題に対してSTEAM的視点、すなわち科学的かつクリエイティブな視点で解決策を考え、課題解決のための具体的な装置を開発するまでを目的としています。
両実験の結果、ドローンやホバークラフトに装着するアタッチメントは軽さと共に、しっかり泥の中に歯を食い込ませながら泥をかき混ぜ雑草の根から取る刃先の重量も必要であることが今回の実験によって検証されました。ドローンやホバークラフト自体のパワーも必要であり、これらのバランスを計算しながら最適解を求めていく必要があります。
次年度は引き続き春見ライス様の水田を実証フィールドとし、STEAMの工学的・物理的また数学的見地で専門家・研究機関による指導を得ながらアタッチメントのプロトタイプ制作およびAIを活用した自動走行マシンの研究に向けた実験を行っていく予定です。

新型コロナウイルスの影響で最小限の参加者で実施し、子供たちの参加が叶いませんで、したが担い手の確保および育成の観点においても、次年度はこの一連の検証プロセスを里山✕STEAMの授業として実施し、子どもたちや学生に対し、持続可能な地域と農業について考える機会を提供するESD(Education for Sustainable Development)を実施していきます。

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