レポート

高校生がデザインする「星の見える森づくり」#14 ― 森から学び、未来へつなぐ。プロジェクト最終回&次年度へバトンをつなぐ日

「この森で、学んだことを次に渡したい。」
――森は完成ではなく、未来への入り口だった。

「高校生がデザインする『星の見える森づくり』」プロジェクト最終回となる第14回では、
これまでの探究・整備・発信活動を振り返りながら、次年度への引き継ぎに向けたディスカッションと内省が行われました。

授業では、加茂農林高校 森林科学科3年生7名が、
①里山整備で大切だと感じたこと
②整備した森をどう維持・発展させていくか
③後輩にどんなことを託したいか
をテーマに、デジタルマンダラマトリクス(DMM)に自らの言葉を記入し、発表・共有しました。

指導にあたったのは、これまで本プロジェクトを導いてきた
田園社会イニシアティブの楢木氏京都大学の青木成一郎先生加茂農林 中島教諭、そして美濃加茂市農林課の三輪氏

・テーマ: ①里山整備で大切なこと、②整備した里山をどう続けていくか、③後輩にしてもらいたいこと形式:フィールドワーク。上記をデジタルマンダラマトリクス(DMM)に記載しディスカッションおよび発表をした。

・形式:教室での講義+指導

・指導者:田園社会イニシアティブ 楢木、京都大学大学院理学研究科附属天文台天文普及プロジェクト室室長/京都情報大学院大学准教授 青木成一郎氏 ・参加者:加茂農林高校 森林科学科3年 7名、中島教諭、農林課 三輪氏

・参加者の感想(加茂農林高校生徒へのアンケート)

<設問1>印象的だったこと(原文ママ)

・月食を見れたとき

・部分月食のことで知らないことがしれるようになったことへのうれしさ

・月食の仕組み

・青木先生の月食についての講話。知識が増えて良かった

・話し合いすべて

・里山整備。楽しかったしためになった。

・自分たちが作ったものやところに人を呼んで評価してもらったこと

<設問2>授業前の自分との変化(原文ママ)

・里山に対する意識を持つようになった

・里山の考え方

・地域のことに自身で考えることなどができた

・多くの案が出せるようになった

・森について前よりも関心を持つことが増えた

・森に興味が持てるようになったし自分のできることは何かを考えて行動するようになった

・今後に向けての考察:このプロジェクトは、昨年度の3年生が発案した「星の見える森づくり」のアイデアを起点に、森の専門家や天文学者、企業、行政と連携して、高校生たちが本物の“森づくり”をゼロから体験する探究型教育の実践となりました。

そのプロセスで得られた最大の成果は、「森に人を呼びたい」「地域のためにできることを考えたい」という、生徒自身の意識の変化です。

市民の関心を高める取り組みとなったことに加え、メディア取材による発信効果も大きく、
今後は、STEAM教育を通じて地域の担い手を育てるモデルとしての展開が期待されています。

初めて森に入ったときと開拓を終え市民発表をするまでのプロセスと生徒の心の変化(内観)を、デジタルマンダラマトリクス(DMM)を使い精密にプロジェクトを進めていきました。

上記参加者(加茂農林高校生)の感想内の下線部から、①「市民への里山保全に対する関心」が高まった(自分たちが作ったものやところに人を呼んで評価してもらったこと)、②「里山保全の大切さを知って」森に興味を持ち、主体的に考えるようになった(森に興味が持てるようになったし自分のできることは何かを考えて行動するようになった)という変化を読み取ることが出来ます。

メディアの取材も入ることで市民の里山保全に対する関心とモチベーション向上にも寄与する効果が見られたと共に、最先端テクノロジー(STEAM)での課題解決を体感することで地域の担い手としての活躍が期待されます。

この森は、ゴールではありません。
次年度の3年生が、先輩たちの森をどのように引き継ぎ、育て、地域とつなげていくのか――
その物語が、また新たに始まろうとしています。

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