■子どもたちが、森で未来をデザインする。

「里山✕STEAM MINOKAMO2030」は、美濃加茂市が進める「里山千年構想」と連動しながら、持続可能な里山のあり方と、それを支える担い手の育成を目指す挑戦です。
科学・技術・ものづくり・芸術・数学の5領域を横断するSTEAM教育の視点を活かし、地域資源である“里山”を舞台に、次世代の学びと探究を実践しています。
このプロジェクトは、田園社会イニシアティブ株式会社そしてミライクエスト、美濃加茂市、合同会社カモケンラボによる共同研究からスタートし、
「10年後の美濃加茂の持続可能な姿をデザインする」というコンセプトのもと、さまざまな実証実験と実践的な学びの場を生み出してきました。

<背景と意義>
国内でもSDGs(持続可能な開発目標)への関心が高まる中、教育現場では地域資源を活かした教科横断的な学びが求められています。
とりわけ、自然との共生を象徴する“里山”は、ESD(持続可能な開発のための教育)の実践フィールドとして注目を集めており、アクティブ・ラーニングに最適な「学び舎」となっています。
一方、世界ではAIやロボティクスなど先端技術の進展にともない、「STEAM(スティーム)」教育――
Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)――が拡大。
日本でも「未来の教室」構想(経済産業省)や「総合イノベーション戦略」によって、Society 5.0時代に対応した人材育成が急がれています。
「里山✕STEAM」は、これらESDとSTEAMの掛け算による、新しい地域教育モデルです。

<ラボでの学びと実践>
このプロジェクトでは、小中高生・大学生が、実際の里山に足を運び、課題を発見し、解決のアイデアを形にする「ラボ型学習」を行っています。
たとえば、次のような取り組みが行われています:
- 竹チップによる除草技術の実験
- スマートグラスを使った技術継承(堂上蜂屋柿)
- 「星の見える森づくり」をテーマにした高校生による森林再生計画
- 宇宙農業やAI技術と森の融合など、最先端技術とのコラボレーションも多数
さらに、企業や大学・専門家の力を借りながら、現場の課題をリアルな学びへと転換する仕組みをつくっています。

<企業・社会との連携と未来>
この取り組みは、単なる教育事業にとどまりません。
STEAM教育と連動した人材育成は、ESG(環境・社会・ガバナンス)やSDGsを重視する企業にとっても重要な投資。
令和2年には、トヨタグループによる未来都市構想「WOVEN CITY」が発表されるなど、自然と共生するまちづくりへの関心が高まる今、
企業にとっても里山は“未来へのヒント”が眠る場所となっています。
美濃加茂市では、平成27年から「里山千年構想」のもと、すでに企業と連携した森づくりの実績が積み重ねられています。
「里山×STEAM MINOKAMO2030」は、その学びに**“未来への投資”という新たな視点**を加え、
教育・企業・地域の共創モデルとして、他地域への展開、さらには世界への発信を目指しています。

<未来へ向けて>
農林業の担い手不足や地域の人口減少といった課題に対して、
「STEAMの視点で地域を再編集する」というこのプロジェクトの可能性は、今後ますます広がっていくでしょう。
子どもたちの探究心に火を灯し、企業の創造力と結びつけ、地域の森が“未来をつくる舞台”になる――
「里山×STEAM MINOKAMO2030」は、そんな未来への冒険の入り口です。
